
「人材育成に取り組みたいものの時間が足りない」
「自社にノウハウがないため何をすればよいかわからない」
などと悩んでいませんか。
採用競争が激化しているため、既存の従業員を教育したいと考えている経営者は多いでしょう。優先順位をつけて計画を立て、助成金やITツールを活用しつつ教育を実施すると、リソースが限られる中小企業でも一定の成果を期待できます。
本記事では、中小企業を対象に人材育成の重要性と課題、人材育成を成功に導くポイントを解説します。自社の競争力を高めたい方は参考にしてください。
中小企業にとって、人材育成は最も重要な経営テーマのひとつです。
生産年齢人口の減少にともない採用競争が激化しているため、既存の従業員に対する教育の重要性が高まっています。大企業に比べて従業員数が少ない点もポイントです。一人ひとりの働きが業績に影響するため、育成の効果が経営上の成果に直結しやすい傾向があります。
人材を資本と捉えて、投資によりその価値を引き出し、中長期的な企業の成長につなげる「人的資本経営」も、人材育成の重要性を強調しているといえるでしょう。一方で、人材育成を思うように進められない中小企業は少なくありません。どのような課題を抱えているのでしょうか。
中小企業が直面しやすい人材育成の主な課題は次の通りです。
これらの課題について解説します。
従業員数が少ない中小企業では、専任で指導を行える部署や担当者を確保しにくい傾向があります。また、他の業務と兼務することにより、指導に十分な時間をかけられないことも少なくありません。商工中金が中小・中堅企業を対象に実施した調査で、人材育成を進める上での課題として以下の結果が得られています。
| 人材育成の課題 | 割合 |
|---|---|
| 時間的余裕 | 44.8% |
| 育成プログラムの策定 | 38.9% |
| 企画・実施担当者を確保できない | 32.7% |
出典:商工中金「中小企業の人材育成の状況について(2022年8月商工中金景況調査トピックス調査分)」
https://www.shokochukin.co.jp/report/keikyo/pdf/keikyo_221028.pdf
専任の担当者を確保できないと、教育の質もばらつきやすくなります。
充分な予算を確保できないことも、中小企業の人材育成を阻む要因になっています。外部研修やコンサルタントの活用などに、一定の費用がかかるためです。業界や規模により差はあるものの、一般的な教育訓練費の目安は人件費の1~3%程度と考えられています。
財務状況によっては、必要な教育訓練費を捻出できないこともあるでしょう。国や自治体の補助金・助成金を活用すると、自社で負担する金額を抑えつつ人材育成を行えることがあります。活用できる制度はケースによって異なるため、自治体の窓口などで確認することが重要です。
人材育成に関するノウハウの不足も、中小企業が直面しやすい課題です。計画的な教育プログラムがないと、場当たり的な対応になってしまいます。
たとえば、担当者の思い付きで研修を実施し、かけた時間とコストに見合う成果を得られないこともあるでしょう。また、業務を通して各従業員が自発的に学ぶ中小企業では、改まった教育の機会がないことも考えられます。このようなケースでは、育成に関するノウハウを蓄積できません。非効率な教育を続けてしまう恐れがあります。
効果測定の仕組みがないことも、中小企業に多い課題です。適切に評価していないと、次の問題が生じやすくなります。
効果を測定していないと、成果が出ているにも関わらず予算を減らしたり、成果が出ていないにも関わらず予算を増やしたりすることが起こり得ます。最終目標(KGI)と中間目標(KPI)を設定し、効果を見える化することが重要です。

中小企業は、優先順位を決めて計画的に人材育成を行う必要があります。ここでは、人材育成を成功させる6つのポイントを紹介します。
現在の経営課題をもとに、人材育成の優先順位を決定しましょう。中小企業の多くは、活用できるリソースが限られているためです。対象を広げすぎると、予算や人員が不足する恐れがあります。たとえば、次のケースが考えられます。
中小企業では、効果が会社全体に波及しやすい管理職に対する教育を優先することがあります。
役職や階層ごとに目標を設定した育成計画を策定することも重要です。目標が曖昧だと、教育の内容や期間、必要な予算などを定められません。
また、従業員も取り組む意義を見いだしにくくなります。目標設定の例は次の通りです。
| 階層 | 目標設定の例 |
|---|---|
| 管理職 | マネジメントスキルの向上・リーダーシップの強化 |
| 中堅社員 | 専門性の向上・指導力の強化 |
| 新入社員 | ビジネスマナーの習得・基礎知識の習得 |
習得したスキルを見える化するなど、ポジティブなフィードバックを行うと、従業員の前向きな姿勢を引き出せます。
人材育成は短期間で成果が出る取り組みではありません。中長期的な視点で、育成計画を作成し、定期的に見直すことも成功のポイントです。成果を焦ると、次の問題が生じやすくなります。
たとえば、次世代の管理職を育成したい場合は、3~5年を育成期間とし、半年に1回程度のペースで進捗を評価して計画を見直すとよいでしょう。人材育成には時間がかかるため、早期に着手することが重要です。
リソースが限られている中小企業は、ITツールを積極的に活用するとよいでしょう。担当者にかかる負担を軽減しながら、教育の質を底上げできるためです。
たとえば、eラーニングを導入すると、時間や場所を問わず教育を行えるようになります。あるいは、LMS(学習管理システム)の導入により、受講者の進捗管理や評価などを効率化できます。ただし、ITツールですべての人材育成を行えるわけではありません。対面での指導を要する業務もあります。ITツールを導入する場合は、活用できる領域を理解しておくことが重要です。
予算面に課題を抱えている場合は、助成金や補助金の活用を検討してみてはいかがでしょうか。経費の一部が支援されるため、コストを抑えて人材育成を進められます。代表的な助成金の例として、人材開発支援助成金やキャリアアップ助成金が挙げられます。
たとえば、人材開発支援助成金の人材育成支援コースでは、所定の条件を満たすと訓練経費や訓練期間中の賃金の一部が助成されます。ただし、制度に合わせて育成計画を立案すると、本来の目的と乖離することがあるため注意が必要です。
出典:厚生労働省「人材開発支援助成金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html
人材育成を行う前に、最終目標(KGI)と段階的に達成することで目標に到達する指標(KPI)を定めて、成果を見える化しましょう。これらが、次の計画や予算を検討するときの判断材料になるためです。具体的な指標の例として、残業時間や資格の取得、営業成約数が挙げられます。チームワークが改善した、業務に前向きになったなど、数値化しにくい面も評価することが重要です。
リソースが限られる中小企業も、優先順位をつけて具体的な計画を立案し、中長期的な視点で人材育成を行うと、成果を出しやすくなります。ノウハウや予算は、ITツールや補助金・助成金の活用で補えます。競争力の源泉になる人材は、中小企業にとって重要な経営資源です。この記事を参考に、できることから人材育成に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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