
今回のテーマは「自己評価と他者評価がズレる社員をどうする?」です。先日、クライアントの経営者の方から次のようなご相談をいただきました。
「評価について相談です。うちの会社に、やたらと自己評価が高いリーダーがいます。明らかに目標を達成できていないのに、完璧にできていると自己評価していたり、部下との関係が良くないのに、うまくいっていると思っている。こうしたリーダーには度々話をしていますが、どうしても改善されません。そのため、最近は評価時期が億劫でなりません。何かアドバイスをいただけないでしょうか」
たしかに、こういった人がいると悩みますよね。リーダーに限らず、自己評価と他者評価がズレる社員は一定数存在します。そのズレを指摘すると感情論になりやすく、互いに落ち着いて話し合うのは難しいものです。そこで今回は、自分を客観的に見ることができない社員への具体的なアプローチをご紹介します。
「評価のタイミングで、社員の自己評価と上長の評価が大きくズレる」という場合は、目標を立てる時点に問題があることがほとんどです。
だからこそ重要なのは、最初に達成基準をすり合わせておくことです。目標を立てた際に、現在の達成度を確認し「どういう状態になれば達成したといえるのか」を明確にしておきましょう。そうしなければ、自己評価が高い人は実際の成果ではなく、自分をよく見せることで評価を得ようとしがちです。
一度設定した目標は下げにくいものです。最初の段階で明確な達成基準を持つことが、その後の評価のズレを防ぐカギになります。
目標設定の基本的な考え方は、高すぎたり低すぎたりするのではなく、現在のレベルから少しストレッチした内容にすることです。ところが実際には、極端に高く設定する人や、逆に低すぎる目標を立てる人がいます。
目標が高すぎる人は周りが見えておらず、自分を客観的に見ることができていません。一方で、目標が低すぎる人は、低い目標を立てて「すごい!こんなにも達成した!」と考えます。これは、努力せず認められたいという心理といえるでしょう。
こうしたズレを防ぐために大切なのが、「中間確認」です。目標を立てた後、1on1や定期面談で現在の進捗を都度確認していきましょう。そうすれば、評価時期までに自分の目標設定のクセやズレに気づき、次回以降の目標を適切に立てられるようになっていきます。
評価項目の中には、数値では測れない要素があります。たとえば、コンピテンシーやコアバリューなど、価値観や行動をどの程度体現しているかを示す指標です。こうした要素は抽象的で、上長だけの判断では評価が難しい部分です。
そこで有効なのが360°評価です。上司部下関係なく社内の5~6人が評価を行なう仕組みで、評価される側は数値だけでなく、評価者からのコメントを通して、大きな気づきを得られます。
「自分ではできていないと思っていた部分が、実は評価されていた」
「自分ではできていると思っていたけど、もう少し努力が必要だった」
このように、自身のレベルに客観的に向き合うことで、自己承認と改善に繋がります。
毎年こうした取り組みを続ける会社とそうでない会社では、5~10年後に大きな差が生まれます。正しい評価制度の運用は、社員の個性を活かしながら会社の求める人物像へと成長してもらうために欠かせないものなのです。
今は自己評価と他者評価がズレる社員も、目標確認や適切な評価を行なうことで必ず成長していきます。焦らずに社員の目標設定に立ち会い、進捗確認をしながら社員の成長を後押ししていきましょう。その積み重ねが、経営者自身が評価に悩まされる時間を減らし、組織全体を成長させる力になりますよ。