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2025/10/23

企業文化をつくる具体的な取り組み

今回のテーマは「企業文化をつくる具体的な取り組み」です。

先日、弊社のYouTubeチャンネルをご覧いただいた方からこんなご相談をいただきました。

「いつも興味深く拝見しています。質問なのですが、作成したコアバリューを浸透させ、企業文化へと昇華させていくには、どんな取り組みが必要でしょうか。やはり唱和でしょうか……? 安東さんの取り組み事例がありましたら教えてください」

自社が大切にする価値観、すなわちコアバリューをいかに浸透させるかは、私たちのコンサルティング現場でも常に話題に上るポイントです。

唱和する、掲示する、冊子やカードとして社員に配布するなど、浸透の取り組みにはさまざまな方法がありますね。しかし、実はどれも万能ではありません。前提となるポイントを押さえていないと、どの取り組みも成果につながらない可能性があるのです

今回は、企業文化の醸成に最も重要なポイントを解説しつつ、弊社が実践してきた具体的な文化浸透の取り組み事例をご紹介します。

覚悟の有無が成否の分かれ目

まず、文化浸透で最も大切なのは「覚悟」。経営者が率先してコアバリューを体現し、目指す文化に事業方針そのものを沿わせていく覚悟です。なぜなら、どんなに素晴らしいコアバリューをつくったとしても、働く社員が納得できなければ浸透させるのは不可能だからです。

それを端的に表すエピソードとして、私が若い時に勤めていたある会社の事例をご紹介します。

その会社は、理念や行動指針に「自利利他」を掲げていました。自分も他人も幸せにしようという考え自体は確かに素晴らしいものだと思いますし、何ら異論はないのですが……当時の私はどうしても、自利利他の文化を目指して努力する気にはなれませんでした。

なぜならその会社は、とにかく自分の利益ばかり追求するのが常だったからです。会社がまったく体現していない「自利利他」をいくら説かれても綺麗ごとにしか聞こえず、社員として納得できなかったのです。

経営者が筆頭となり、事業そのもので企業文化を体現していく。これを本気で実践する覚悟をもつことが、いわばコアバリュー浸透の前提条件なのです。

文化浸透の取り組み事例

さて、ここからは具体的な取り組み方について考えていきましょう。以下に、弊社が行っている文化浸透の取り組みを4つご紹介します。

  1. ハッピーカード
  2. コアバリュー週間目標
  3. カルチャーブックディスカッション
  4. 人事評価制度との連動

それぞれの詳細は、以下をご参照ください。

  1. ハッピーカード

いわゆる「サンクスカード」のコアバリュー版のようなイメージで、コアバリューを体現している人に賞賛の言葉を書く取り組みです。月に8枚のカードを書き、社内に掲示するルールで運用しています。

  1. コアバリュー週間目標

この取り組みは「コアバリューを意識する習慣をつける」ことを目的としています。具体的な内容は、毎週月曜日の朝礼時に3~4人のグループを作り、「今週意識するコアバリュー」を互いに発表し合うというものです。

その際は、前週の振り返りも併せて行います。なお、取り組むコアバリューは毎週違うものでも、同じものに続けて取り組んでもOKとしています。

  1. カルチャーブックディスカッション

カルチャーブックとは、弊社の経営方針や理念・ビジョン・コアバリュー、働く上でのルール等をまとめた冊子のことです。この冊子をもとに、2ヶ月に1回、1時間半程度のディスカッションを行っています。例えば、コアバリューを3つほどピックアップして意見を出し合うなど……。

この取り組みは、主に新しく入ってきたメンバーに対する文化浸透を目的としています。人が入れ替われば文化も揺らぎやすくなるため、継続的なディスカッションで浸透度を維持するねらいです。

  1. 人事評価制度との連動

弊社では、人事評価項目にもコアバリューを組み込んでいます。具体的な評価の内容は、社員1人につき周囲5人のメンバーが360度評価を行って決定します。コアバリュー体現度を確認して次の行動に活かす、PDCAのCにあたる取り組みですね。

総じて、弊社では唱和や暗記よりもディスカッションに重きをおいています。理由としては、「見る・聞く・話す・書く」と五感を使って取り組めること。そして、社員の意見や疑問を吸い上げ、適宜ケアや方針改善に活かしていけることです。

本日の結論

企業文化も他の施策と同様に、PDCAサイクルを回し続けることで少しずつ浸透していきます。コアバリューが既存の文化を強化するものである場合はすぐに浸透することもありますが、今あるものとは異なる文化を目指すコアバリューの場合、浸透に3年以上の時間がかかることも。

根気のいる取り組みではありますが、貴社の未来への投資として、ぜひ覚悟をもってチャレンジしてみてください。手間を惜しまずしっかりと根付かせた企業文化は、貴社だけの強みとなって素晴らしい力を発揮するはずです。

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