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2025/11/06

書籍「最高の戦略教科書 孫子」

戦わずして勝つ経営戦略

今回は、書籍「最高の戦略教科書 孫子」を中小企業の経営に活かす方法をご紹介します。

著者は守屋淳。大手書店勤務を経て、中国古典『孫子』『論語』『三国志』などの知恵を現代にどう活かすかをテーマとする執筆や企業での研修、講演を行なっています。

今回の主人公・孫子が活躍したのは、激動の戦乱の時代でした。「兵は国の大事なり。生死の地、存亡の道、察せざるを可からざるなり」(戦争自体は大ごとだ。人が死んでしまうこともあれば、国が滅びることもある。だから真剣に考えて戦略を練らなければならない)という言葉からもわかるように、常に人や国の生き残りがかかっているギリギリの状態だからこそ、勝つための戦略を考え抜いたのです。

これは、競争や移り変わりの激しい現代におけるビジネスも同じです。私たち経営者にとっても、「どう勝ち残るか」は常に問われています。今回は、孫子の“戦わずして勝つ”という考え方を、経営にどう活かせるか一緒に見ていきましょう。

相手に無傷で勝つ

「百戦百勝は善なるものに非ず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」

これは、よく知られている孫子の言葉です。たとえ100回勝ったとしても、度重なる戦いで国力を消耗すれば、第三者に漁夫の利を奪われかねません。それは決して得策とはいえないのです。孫子は、どう戦うかではなく、戦わずして相手を屈服させることこそ最善だと考えました。つまり、「無傷で勝つ」ことを理想としたのです。

では、孫子はどのような戦略をとったのでしょうか。彼はライバルとの力関係を、次の3つのパターンに分けて考えました。

①ライバルの方が弱い場合

②ライバルと自分たちの力が同等の場合

③ライバルの方が強い場合

それぞれ、どのような戦略をうっていたのかご紹介します。

相手を味方に引き入れろ

ライバルが自分より弱い場合は、力の差を示して相手を味方に引き入れ、傘下に収めます。現代でいえば、業務提携を結んだりM&Aでネットワークを組んだりするイメージです。表向きは協力関係を結んでいるように見えても、実際はライバルの競争力を奪い、戦わずに優位を保つ方法です。

相手を無力化しろ

ライバルが自分たちと同等の場合の戦略は、「上兵は謀を伐つ、交を伐つ」(最高の戦い方は、事前に敵の意図や策略を見破って、それを破綻させることだ。もしも相手がネットワークを持っていたら、分断して孤立させろ)という考え方が軸になっています。つまり、戦って勝つのではなく、相手の強みである策略やネットワークを封じて、無力化するのです。

孫子は、「相手のエネルギーが小さいうちに摘み取ってしまいなさい」「相手が戦うエネルギーをこちらに向けてきても、それをうまくかわしてやりなさい」とも語りました。一度でも戦ってしまえば、大きな消耗や犠牲は避けられません。だからこそ、孫子は戦わないで済む方法を徹底的に追求しました。

強い相手とは戦うな

孫子は、ライバルが自分より強い場合も、戦わないことを選びました。

「少なければ即ち能くこれを逃れ、若かざれば即ち能くこれを避く」(兵力で劣るなら退却し、力が及ばなければ隠れろ)

これはただ逃げているのではありません。強い相手から距離を置いている間に、自分より弱いライバルを傘下に入れたり提携したりして、力を着実に蓄えるのです。やがて十分な国力を手に入れたとき、形勢は逆転します。相手と同等か、あるいは相手の方が弱くなった段階になれば、相手を無力化したり、自らの傘下に取り込む戦略を実行できるのです。

今回のまとめ

競争の激しい現代において、「戦わずして勝つ」という戦略を知っておくだけで、行動の選択肢はぐんと広がります。ぜひ、本書を読んでいただき、孫子の考え方を自社の経営にどう取り入れられるか、イメージしてみてくださいね。

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