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2025/10/02

社員との面談が一番のストレスという社長へ

社員面談がストレス

今回のテーマは「社員面談が一番のストレスという社長へ」です。

先日、クリニックを経営しておられる方から、スタッフとの面談についてご相談をいただきました。

「開院以来、真摯に医療に取り組み続け、患者様からもご支持をいただいています。この度、医院のさらなる発展を目指すために将来ビジョンを描き、それを伝えるべくスタッフとの面談を始めました。

しかし、スタッフから出てくるのは、医院や患者様のことより自己都合を優先する発言ばかり。新しい取り組みに対しても、できない理由ばかりを並べ立てます。あまりに後ろ向きな発言が多く、面談のたびに苦痛を感じます。もはやスタッフ面談が一番のストレスかもしれません……。この状況から抜け出す方法はあるのでしょうか」

ビジョンを言語化したことも、スタッフの皆さんとの面談も、どちらも組織の前進につながる素晴らしい取り組みですね。せっかくの取り組みを「しんどい」だけに終わらせず、実りあるものに変えていくために、面談のポイントを検討してみましょう。

スタッフを主役にしよう

まずお伝えしたいのは、面談の「主役」についてです。

ご相談では、ビジョンを伝えることが面談の目的とありました。これは、「院長がスタッフにビジョンを伝える」といった具合に、面談の主役が自分(院長/経営者)になっている状態です。

もちろん、自分をメインに会話を展開するのが間違いというわけではありません。しかし、こと面談においては、経営者側が自分を主役におくと失敗を招きやすい。これは、経営者側がメインの面談では、個々のスタッフが抱える課題を見つけることや、経営者とスタッフのギャップを埋めることがどうしても難しくなるためです。

そこでご提案したいのが、自分ではなくスタッフを面談の主役にすること。スタッフに組織や経営者について理解してもらうためではなく、経営者がスタッフを理解するための面談を行うことです。

スタッフ理解がもたらすメリット

気が滅入るような発言を繰り返すスタッフを主役にする、理解するというと、抵抗を感じる方も多いかもしれません。これは当然の感情ですが、それでも「院長や経営者の立場とスタッフの立場では、見える景色や抱える課題が異なる」という事実には注目すべきです。

これを念頭におけば、後ろ向きな発言が繰り返される現状に対して「経営者からは見えにくい課題があるのかも」「医院の方針に誤解があるのかも」といった新たな見方ができるようになる。すると、ネガティブな発言を増やしている根本的な原因を見極め、解決に向けてアプローチできるようになるのです。

たとえば、原因としてありがちなのは「勤務歴からリーダーに抜擢したが、本人は負担に感じている」「本人の能力以上の仕事を任せてしまっている」といったケースです。

このようなストレスから不満を募らせたスタッフが、ネガティブ発言を繰り返すケースは少なくありません。これを面談で把握できれば、配置転換や業務量の分散といった合理的な支援を提供し、現状を改善することが可能になるでしょう。

あるいは、面談を繰り返しても原因が見つからず、後ろ向きな発言を繰り返すのは本人の人間性の問題という結論に至るかもしれません。この場合は「採用ミス」として考え、採用体制を見直す必要がありますが……長い目で見れば、これも組織にとってプラスの発見といえますね。

強い組織をつくるために

そして、スタッフを面談の主役にすることは、組織づくりにも良い影響をもたらします。

スタッフへの理解を深めて課題解決を支援することは、スタッフの組織に対する愛着や信頼感を高めることにつながります。すると、理念やビジョンの浸透もスムーズになり、組織づくりのスピードが上がっていくのです。

組織づくりはあらゆる業種において重要ですが、クリニックの場合は特に、組織づくりが業績に直結するといっても過言ではありません。

素晴らしい院長がいて、素晴らしい医療を提供しているクリニックでも、スタッフの雰囲気がよくなければ患者の足は遠のきます。反対に、スタッフのエンゲージメントを高めて組織づくりを促進すれば、医院の成長はさらに加速する可能性が高い。スタッフとの面談は、これを実現するための重要な施策のひとつなのです。

本日の結論

スタッフが主役の面談を実施するのは、正直なところかなり大変です。私も、いまだにしんどさを感じることが少なくありません。

しかし、難易度の高い取り組みだからこそ、得られるリターンも大きいのも事実です。経営力を上げるための一種のワークアウトだと考えれば、しんどさも「意味のある負荷」と捉えて前向きに取り組んでいただけるのではないでしょうか。

スタッフを面談の主役に据えることで、現状の課題を生み出している根本原因を見つけていく。経営者として、組織としてさらに力を高めていくために、ぜひ挑戦してみてください。

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