中小企業の未来を考える経営コンサル
ティング株式会社ブレインマークス

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2019.05.14

コンサルティング

「人の可能性を最大限に引き出す組織の形」とは? 最近話題の「ティール組織」(第2回) 〜「社員の自主性」を引き出すには

前回(中小企業とティール組織①http://www.brain-marks.com/blog/consulting/2259.html)は、

『ティール組織』(フレデリック・ラルー著、英治出版)に書かれている
組織の発達段階を中小企業に当てはめて概説しました。

(1)「衝動型」(レッド)……強いリーダーが恐怖政治で支配する組織
(例:オオカミの群れやマフィア)

(2)「順応型」(アンバー)……明確な指揮命令系統とヒエラルキーで統制する組織
(例:軍隊)

(3)「達成型」(オレンジ)……結果や効率で人を評価する組織
(例:機械)

(4)「多元型」(グリーン)……メンバーの多様性を重視し、独自の文化を大切にする組織
(例:家族)

(5)「進化型」(ティール)……指示命令がなくても、メンバーそれぞれが個を生かして全体の目的を達成する組織
(例:生命体)

なお、組織の最終発達段階であるティール組織は、突然に発生するものではありません。
上記の5つのステージを経て、段階的に成熟していくのだといいます。

ただ、私がこのティール組織を紹介したのは、
闇雲にティール組織を目指そうという提案のためではありません。
ティール組織という考え方から、日本の中小企業は何を取り入れられるのかを
考えるためです。

そこで今回は、ティール組織の大きな特徴である「メンバーの自主性」に着目し、
日本の中小企業がいかにして社員の自主性を発揮させられるかを考えます。

中小企業が次のステップへ進むために必要なもの

多くの企業が「達成型」組織で成長が止まっている中で、
ティール組織になるためには様々なブレイクスルーが必要です。

そのうちの一つに「セルフマネジメント」があります。
これは、単に社員全員が業務の漏れをなくす、ということではありません。
社員一人ひとりが自分で判断し、責任をもって意思決定していくということです。

これは、経営者なら誰もが社員に望みながらも、
なかなか実現できないと悩んでいるものでもあるでしょう。

社員にこの「セルフマネジメント」を望むなら、
役割の明確化や長期的展望の共有といった「順応型」「達成型」組織の要素が
どうしても必要になります。

組織の中でいきなり「自分で考えて行動してください」と言われても、
「自分の役割は何だろう?」「この会社はどこに行くんだっけ?」と疑問ばかりで、
社員は前に進めないからです。

多くの中小企業は、「達成型」になると「自社はうまくいっている」と感じるものです。
しかし、最終到達地点は「達成型」ではありません。
「達成型」と、その次のステージである「多元型」との違いは、
社員に自主性があるかないかです。
これは中小企業が次のステップへ成長する上で欠かせない要素です。

そのために私が重要だと考えるのは、「①会社の存在目的」、「②コア・バリュー」、そして
「③オープンブックマネジメント」です。

社員の自主性を生み出す3つの要素

①会社の存在目的
そもそも自分の行動の目的がわからずして、社員がやる気を出せるはずがありません。
理由も告げられずに「これをやれ」と指示されても、
社員はその行動自体に意味を見出すことができないのです。

そこで、社員が行なうその仕事が、組織全体の目的にどう繋がり役立っているのかを
明確に示すことが必要です。
つまり、第一ステップは会社の存在目的を社員に明示し、理解してもらうことなのです。

②コア・バリュー
コア・バリューとは、社員が働く上で共通して持つ価値観のことです。
「思いやりを大切にする」というコア・バリューがあれば、
社員は「思いやりを大切にする」ことを重視して働くことに努めます。

たとえ会社の目的が明確になったとしても、
「人を蹴落としてでも達成する」のか「思いやりを大切にする」のかによって、
そのプロセスや判断基準は大きく変わってきます。
どれだけ目的が明確であっても、それをどう達成するのかが明確でなければ、
社員もどう判断・行動すればよいか迷ってしまいます。

なので、どんな価値観を元に判断すればよいのかを明確にすることも、
社員の自発的な決断を促すためには必要な要素なのです。

③オープンブックマネジメント
オープンブックマネジメントとは、会社の売上や利益率などを全社員に開示することです。

中には、社員に見せたくない情報もあるかもしれません。
社長にとっては決断が難しいかもしれません。

しかし、逆の立場から考えてみてください。
隠しごとをしている人に対して、あなたは自発的に信頼を置くことができるでしょうか。

全ての情報を開示して、会社の現状を正しく理解するからこそ、
社員が自発的に動ける環境が整えられるのです。

なぜ組織を変える必要があるのか

「そこまでして、組織を変える必要がありますか?」

そう考える方もいるかもしれません。
その疑問は自然なものですし、とても本質的なものでもあります。
なぜ組織を変える必要があるのか、そこからしっかりと考えてみましょう。

私が思うに、組織を良くすることの意味は明確です。
それは、「変化を厭わない組織」へ変わり、
「変化をしながら目標達成する組織」になることです。

あらゆる産業で先が見通せない現代にあって、これほど重要なことはありません。

このイメージさえ湧けば、
「社員一人ひとりが自主性を持ち、一つの目的に向かい、目標を達成できる会社」を
つくらなければならないと気づくはずです。

社長がいろいろなセミナーへ顔を出し、
経営ノウハウや財務システムなどを聞いては自社に取り入れようとする。
しかし、組織のメンバーはみんな「YES」と言いつつも、
内心では「また社長が変なものを持ってきた」と思う。
結果、新しい取り組みはうまくいかず、
社長は「この方法はウチには合わなかったな」と総括する。

そんなことが繰り返されてはいないでしょうか?

しかし、たとえどんなに良いノウハウを持ち帰ったとしても、
社員の自主性という「土壌」がなければ、決して根付くことはありません。

経営者のあなたが行なうべきことは、外部から良い情報を持ち帰ることよりも先に、
社員が自主性を発揮できる環境を整えることなのです。

(安東邦彦)