中小企業と人権問題(第3回) 〜「人を幸せにする法人格」になるために | 中小企業の経営コンサルティングならブレインマークス
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2022.02.15

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中小企業と人権問題(第3回) 〜「人を幸せにする法人格」になるために

安東 邦彦

生存欲求に突き動かされている経営者

経営者は、時として危険な存在かもしれません。

なぜなら、「会社を守る」という大義名分のもとで人を不幸にしてしまう可能性を多分に持っているからです。パワーがある経営者だからこそ、間違えた使い方をしてはならないと思います。

しかし、数多くの会社を観察すると、残念ながら「間違えたパワーの使い方をしている経営者」がいると感じるのも事実。

これは、経営者と社員の根本的な意識の違いから生まれるものなのかもしれません。

マズローの「欲求五段階説」でいうと、求職者は「豊かになりたい」「たくさん給料がほしい」といった欲求だけでなく、「承認されたい」「仲間をつくりたい」といった、より高次の欲求に基づいて働く会社を探しています。

しかし、中小企業の経営者は違います。最も強いのは常に「生存欲求」。

会社に万一のことがあれば自分も共倒れになってしまう経営者は、生き残ることに対して強い欲求をもっているはずです。

いざ会社の生存が脅かされたときには、生きるか死ぬかのギアが入る。そんなときに高次の欲求について社員があれこれ言っていると、腹が立ってしまうかもしれません。

これは「自分と会社を同一視」しているということ。この状態では常に生存欲求を突き動かされ、人を不幸にすることも厭わない経営姿勢となってしまう可能性があるのです。

私は、生存欲求に大きく左右されることのない、「強い法人格」をつくっていかなければならないと考えています。

なぜ、社員が本来もっているはずのモラルが破壊されるのか

法人であれ個人であれ、成長し続けている存在には特徴があります。

常に人格を磨き、技能を磨き、PDCAを回し続けているのです。

謙虚で人に感謝し、自責で物事を考える。そして必要な技能を伸ばし続け、成長のPDCAを回していく。これは企業にとっても重要なサイクルです。

私自身も、「ブレインマークスという法人格」を常に外部の人から見られていることを意識して、人格と技能を磨き、PDCAを回し続けることにチャレンジしてきました。

法人格を成長させるとは、どういうことなのか。

ときに「風土」や「文化」といった言葉で表される「企業の人間性」をつくり上げているのは、企業そのものであり、企業の仕組みであり、企業に属する一人ひとりです。

社員の中には、好き好んで悪いことをしようとする人は基本的にいないでしょう。

ではなぜ、法人格は人を不幸せにする方向へ走ってしまうのでしょうか。

「コストダウン意識がモラルよりも強い」「効率を重視し過ぎてプロセスを軽視してしまう」……。

そうした、社員が本来もっているはずのモラルを破壊する仕組みが生まれてしまっているのかもしれません。根源にあるのは経営者が縛られている生存欲求です。

経営者の肩の荷を軽くするために

世の中には、素晴らしい技術や技能を実用化し、製品を通じて世の中に新しい文化を広めている企業がたくさんあります。

そこには高度なシステムがあり、仕組みがあるはずです。製品を世に送り出すまでの歴史も然り。

一方で、働く人への思いはどこまで維持できているでしょうか。経営者である自分自身と法人格を同一視して、生存欲求のままに、誰かの幸せを犠牲にしていないでしょうか。

企業に対する世間の目は厳しくなり、一挙手一投足に気を遣わなければならない時代。経営者の中には、この空気に息苦しさを感じる人も少なくないかもしれません。

しかし、経営者である自分自身と法人格を違う存在だと認識して、それぞれに人格と技能を磨き続け、PDCAを回していくことができれば、その肩の荷も少しは軽くなるはず。

私自身も、経営者としてさまざまな経験を重ねる中で、ブレインマークスという会社を少しずつ客観視できるようになってきました。

人を幸せにする会社が増えていくためにも、私は伝え続けていきます。

(安東邦彦)

▼【中小企業と人権問題】の過去記事はこちら

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