今、経営者が語るべき言葉(第2回) 〜社長の思いを明文化する | 中小企業の経営コンサルティングならブレインマークス
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2022.04.01

コンサルティング

今、経営者が語るべき言葉(第2回) 〜社長の思いを明文化する

安東 邦彦

社長がただ話すだけではない

コロナ禍で働き方が多様化するなか、課題視されるようになった社内コミュニケーション。

これは中小・零細企業にとっても無縁ではありません。社員数が少なくとも、目に見える範囲内で社員が働いていようとも、社長の思いがちゃんと伝わっているとは限らないのです。

ブレインマークスでも、10人未満の規模の段階から、企業として大切にしている思いを伝えるためにさまざまな仕組みを作ってきました。

社長である私が、ただ話す場を持つだけではありません。

「コアバリューブック」をはじめ、ブレインマークスが大切にする考え方を伝えるためのツールを整備。その上で、1on1ミーティングや週次ミーティングなど、堅苦しい内容だけでなく何でも話し合える場も体系立てて用意しています。

結果的にブレインマークスでは、コロナ禍のずっと以前から、社員が集まって飲みに行く機会はほとんどありませんでした。いわゆる「飲みニケーション」の必要性を感じたことがなかったのです。

私たちはどのようにして思いを伝える方法を築いてきたのか。今回はその具体策をお伝えします。

最低レベルの水準を押さえる「ガイドライン」

ブレインマークスでは、経営方針の根幹として「経営計画書」をまとめ、毎年更新しています。経営者としての思いはまずここで伝えます。

また、会社として大切にしたい文化は「カルチャーブック」で共有。これらは固定された内容だけでなく、毎年見直しも加えながら、私の考えを表現しているつもりです。これらはそれぞれ40〜50ページにわたります。

また、具体的な業務についての手引きとしてのガイドラインも作りました。たとえば現在は「人事評価運用ガイドライン」を運用しており、今後は「人材採用ガイドライン」や「マーケティングガイドライン」があってもいいかもしれないと考えています。

こうしたガイドラインの存在をお伝えすると、人によってはマニュアルで縛ろうとする会社なのではないかと感じることもあるかもしれません。

もちろん、私にはそんな意図はありません。

ガイドラインはあくまでも、最低レベルの水準をそろえるためのもの。基本があった上で、高いレベルの仕事は自由に進められるべきだと思っています。

暗黙知になりがちなマネジメント手法を伝承する

これらのガイドラインは、もう一つ大きな意味を持っています。中途入社メンバーへの手引きとしても大いに活躍するのです。

他社を経験している中途入社メンバーが「前の会社ではこうやっていた」「この会社のやり方はおかしい」と主張して、社内に不毛な議論が起きてしまう……。よく聞く話ですが、ガイドラインが明確化されていれば、こうした余計な争いはまず起こりません。

さて、現在の私が新たに考えているのは「マネジメントブック」、つまりマネジメントのガイドラインです。

会社組織は協業が基本。そのための方法をまとめ、組織図の考え方やマネジメントツールの使い方などを網羅した、いわば「会社運用の取り扱い説明書」といえるものを完成させたいと思っています。

「マネジメントをマニュアル化する」という発想自体が珍しいかもしれません。世の中には「マネジメントを定型化すべきではない」と考える人もいるでしょう。

しかし基本ルールがなければ、会社のマネジメントクオリティが保たれないのも事実。かつマネジメント手法は暗黙知化しがちで、同じ社内でもなかなか伝承されません。

目標の立て方、メンバーの指導法……。そうした各論も含めて、暗黙知をしっかり言葉にして伝えていくべきではないでしょうか。

そこには当然、社長としての私の考えも反映されます。自社が実践してきたこと、実践していることを明文化し、新たにマネジメントを担う人の手引きとする。これは、どんな企業にも必要となるのではないかと考えています。

(安東邦彦/第3回に続きます)

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