先日、こんなご相談をいただきました。
「現場から離れたいと考えて色々試行錯誤しても、今いる社員では実現できなそうで気持ちが暗くなります。社員たちは不平不満も多く、仕事を依頼しても『これ以上はできない』と言われ、結局自分が働くことになります。この状態から抜け出すために、どのように変化を促せばよいでしょうか」
こうした悩みを抱える経営者は、とても多いものです。私もまた例外ではなく、「結局自分がやるしかない」状態に何度も直面し、頭を悩ませたことがあります。
大企業とは異なり、中小企業では社内の至る所でマルチタスクが発生しがちです。もちろん社長も忙しいけれど、社員もまた心身ともに余裕をなくしやすい。すると、「任せたいのに任せられない」「結局社長がやるしかない」状態に陥ってしまうのです。
では、どうやってこの状態を打破するか。今回は、社内の戦力不足を克服する方法について、さまざまな角度から検討していきます。
まずは、現在のパンク状態を改善し、仕事を任せる余裕を生み出すための方法を考えてみましょう。
手始めに、社内の業務を「コア業務(絶対に社内でやらなければならない業務)」とそうでない業務に切り分けてみてください。そのうえで、コア業務でないものに関しては、積極的に外注を検討することをおすすめします。
たとえば弊社の場合は、採用やライティングといった業務を外部のリモートワークスタッフにお願いしています。言うなれば、外注によって社内の「余白」を買っているということですね。
社員数が少ない会社の場合、業務をすべて社内でこなそうとすると、それだけでゆとりが無くなってしまうことも多いものです。まずは外注を活用して余白をつくり、その余白を活かして少しずつ権限移譲を進めていきましょう。
次に、社内の戦力を増やしていく方法について考えていきましょう。そのためには、「会社の成長と同時に、人材も成長させていく」視点を持つことが大切です。
ここでは参考として、以前YouTubeでも紹介した書籍『Move your bus』の考え方を簡単にご紹介します。この書籍には、「組織を一台のバスに見立てると、そのバスには以下のような5種類の人材が乗っている」とあります。
・バスの行き先を決める「ドライバー(=経営者)」
・バスが前進するために全力で走ってくれる「ランナー」
・全力ではないが、自分のペースで安定して走る「ジョガー」
・足は動かすものの、歩いてついてくる「ウォーカー」
・バス乗っているだけで何もせず、周りの足を引っ張ることもある「ライダー」
会社は、ランナーやジョガーが多いほど前進しやすくなり、ウォーカーやライダーが増えるほど停滞しやすくなります。
まずは「自社には今、どのタイプが多いか」を振り返ってみてください。すると、自社の現状が見えてきます。そのうえで、できるだけランナー・ジョガーが増えるような採用戦略を考える。未来の戦力を増やすためには、この視点がとても重要です。
ただ、ウォーカーやライダーを完全にシャットアウトするのは難しいものです。また、「すでに、社内にウォーカー・ライダーが多くいる」というケースもあるでしょう。
だからこそ、必要なのは「頑張る人にとって心地よい文化」を意図してつくること。ランナーやジョガーのように頑張る人ほど愛着を感じ、ウォーカーやライダーのようなサボり気質の人は自然と去りたくなるような社内文化を醸成することです。
そして、文化をつくるうえで大切なのは、ウォーカーやライダーを責めることではありません。組織はチームですから、「足を引っ張る個人をどうにかする」ことよりも、「全体の基準(レベル)を上げる」ことが重要です。
全体のレベルが上がれば、ついてこられない人は自然と離脱していく。すると、結果として戦力が充実し、仕事を任せられる人材が増えていく。このように捉えながら、改めて自社の文化をデザインしてみてください。
まずは、業務を切り分けて余白をつくる。次に、戦力になる人材を増やす仕組みを設計する。そして最後に、組織全体のレベルが上がるような文化を意図して整える。この3つが、社内の戦力を増やして「結局社長がやるしかない」を抜け出すための鍵です。
これらは、私自身も地道に取り組み続けているテーマです。社長が現場を離れられる組織をつくるための投資として、ぜひご一緒に頑張っていきましょう。