書籍「ザ・プロフィット」 | 中小企業の経営コンサルティングならブレインマークス
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2025/06/26

書籍「ザ・プロフィット」

今回は、書籍「ザ・プロフィット -利益はどのように生まれるのか-」を中小企業に活かす方法についてお伝えします。

著者は、世界で高く評価されているコンサルタントのエイドリアン・J・スライウォツキー氏。本書では、企業の利益モデル23種類を物語形式で紹介・解説しています。今回は、そんな本書の中から主要な利益モデルをピックアップし、要点をかいつまんでご紹介します。

顧客ソリューションモデル

…顧客を知り、その知識を活かすことで長期的な利益を生み出す

どんなビジネスにおいても、顧客を知ることは大切です。特に、システム開発業や弊社のようなコンサル業などの顧客と中長期的につながる業種にとっては、あらゆる戦略の中でもっとも重要といっても過言ではないでしょう。

短期的には損をしてでも、まずは顧客を知るために時間とエネルギーを注ぐ。顧客の課題やニーズはもとより、どんな日常を送っているかに至るまで興味を抱いて深く知る。だからこそ、その顧客にフィットした製品やサービスを開発・提供し、長期にわたって良好な関係を築ける=長期的な利益を生み出すことが可能になるのです。

製品ピラミッドモデル

…同一ブランドの中で、幅広い価格帯を展開して利益を生み出す

たとえば「バービー人形」には、安価な子ども向けシリーズ以外に、精巧で高価格な大人向けドールも展開されています。製品ピラミッドに当てはめると、前者が下層、後者が上層にあたります。

ピラミッドの下層は他社の参入障壁として、上層は強力な利益創出ポイントとして機能します。顧客の階層に応じて価格帯を分けることで、バービーというブランドが生み出す利益を倍増させるシステムを構築しているわけです。

マルチコンポーネントモデル

…製品やサービスの提供スタイルを変えることで利益を生み出す

たとえば弊社であれば、長期で伴走する個別の経営コンサル以外に「経営ノウハウのDVD販売」「回数限定の経営塾」なども展開しています。複数の提供スタイルによって「まずは短い期間で試したい」「自社にパーソナライズしてほしい」といったさまざまなニーズに応え、利益創出につなげているということですね。

スイッチボードモデル

…サプライヤーとエンドユーザーをつないで利益を生み出す

スイッチボードモデルの具体例には、ホテルのマッチングサービスなどが挙げられます。今後はAI技術などの発展に伴い、さらに応用の幅が広がるかもしれません。

利益増殖モデル

…技術や所有権などをさまざまな形で再利用し、利益を生み出す

具体例としては、ディズニーキャラクター(テーマパークや映画、グッズなどに幅広く展開)や、ホンダのエンジン技術(車、バイクなどに広く応用)が挙げられます。中小企業の中でも、特に技術系の会社に向く利益モデルといえるでしょう。

インストール・ベース利益モデル

…商品の継続購入を促し利益を生み出す

プリンター(インクを継続購入)やシェーバー(替え刃を継続購入)など、「ベースとなる製品をインストールさせることで、消耗品の継続購入を促す」構造がこの利益モデルに該当します。近年普及しているサブスクにも共通する部分がありますね。

ブランド利益モデル

…ブランド構築によって利益を生み出す

簡単にいえば「同じ製品でも、ブランド力を高めればより高価格で販売できる」ということです。シンプルな考え方ではありますが、中小企業にとっては難しい利益モデルかもしれません。

ローカルリーダーシップ利益モデル

…ローカルに絞り込んだエリアでシェアを増やし、利益を生み出す

特定の地域や業界などに特化することで、そのエリア内のシェアを増やして利益を伸ばすという、いわゆるランチェスター戦略のようなモデルです。また、中小企業には難易度が高いブランド構築も、自社が強みを発揮できる領域に特化すれば十分に実現可能となるでしょう。

価値連鎖ポジションモデル

…バリューチェーン(価値連鎖、ビジネスの工程)の中で、特定のポイントに特化することで利益を伸ばすモデル

本書には、インテル(半導体開発に特化)やナイキ(マーケティング、デザインに特化)が具体例として挙げられています。価値提供の流れの中でどのポイントに注力するか、どの分野に特化するかによって、業界でのポジションや市場に与える影響が変わり、利益創出につなげられるということですね。

本日のまとめ

本書には、全編にわたり「ビジネスの成功に必要なのは、利益に対する興味である」という考え方が流れています。これは、厳しい時代を生きる私たち中小企業の経営者にとって、特に重要なメッセージではないでしょうか。

ぜひ本書をお読みになり、利益モデル一つひとつに興味をもって「自社ならこんな応用ができる、こんな可能性がある」と想像を巡らせてみてください。利益への純粋かつ貪欲な興味はきっと、新たな世界を拓くきっかけとなるはずです。

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