
先日、成長の踊り場について、次のようなご相談をいただきました。
「創業10年、従業員数20名程度の会社を経営しています。創業以来、お客様と誠実に向き合うことで信頼を獲得し、事業基盤を安定させることができるようになりました。ただ、安心したのも束の間、ここ数年は必死に働き人を増やしても、狙ったように売上が伸びません。下がることはないのですが、投資に見合ったリターンではありません。この踊り場を抜け出すために、私は何をすべきでしょうか」
同じような踊り場を、5人の頃、10人の頃、20人や30人の頃に感じた経営者は少なくありません。結論から言うと、踊り場を抜け出す方法は、①新しい戦略をつくる、②その戦略を実行できる組織をつくる、のどちらか(多くの場合は両方)に取り組むことです。今回は、成長の踊り場に立ったときに経営者がすべきことについて整理していきます。
実は、踊り場を感じるタイミングは経営者によってまちまちです。従業員5人の時に感じる社長もいれば、10人、20人、30人と規模が大きくなってから感じる社長もいます。先週の経営塾の相談会でも「ずっと20人から抜けられないんだよね」という社長がいらっしゃいました。つまり、踊り場そのものは誰もが通る道であり、必要以上に気にする必要はありません。ただし、同じ場所に2年も3年もとどまっていると、経営者自身も社員も次第に嫌になってきます。まず知っておいていただきたいのは、踊り場からなかなか抜け出せない会社の社長ほど、踊り場を抜けようと焦って「もっと頑張ろう」としてしまうという事実です。もっと頑張ろうとすればするほど、社員をどんどん働かせる方向に力が入り、社員が疲弊して辞めてしまい、かえって踊り場の底に逆戻りするということが起こります。1年、2年と業績が伸び悩んでいると感じたら、まずは一旦立ち止まってみることです。踊り場に差し掛かったということは、今までのやり方ではこれ以上の売上・組織規模は実現できないという合図であり、これまでのやり方を見直すタイミングが来たというお知らせなのです。
見直すべきことの1つ目は、戦略そのものです。同じマーケットでそれ以上の売上を狙おうとすると、これまでの戦略では差別化ができなくなっているケースが非常に多くあります。会社の規模が小さいうちは多少差別化が甘くても成長できますが、規模を超えてくると、より強い競合と直接ぶつかることになり、勝てなくなったり、新しい競合の存在に気づいたりします。まずは自社の強みを改めて洗い出し、「誰に対して、どんな価値を、どうやって提供していくのか」という戦略づくりを見直すことが欠かせません。
2つ目に見直すべきは、その戦略を実行できる組織になっているかどうかです。多くの会社では、実はこちらの問題の方が深刻です。創業して間もない頃は「みんなで頑張ろう」という気持ちだけで乗り切れましたが、事業が拡大すると、マーケティングから受け取った内容を営業が形にし、それを商品として提供するというように役割が細分化され、再現性を持って戦略を実行できる組織づくりが必要になります。見直し方には2通りあります。1つは、新しい人材を採用して戦略を実行できる人を外から引っ張ってくる方法。もう1つは、今いるメンバーが育つよう、あえて立ち止まって時間をつくる方法です。弊社の場合は後者を選び、外部から即戦力を連れてくるよりも今いる社員を育てた方が結果的に持続的に成長する会社になると判断しました。どちらが正解ということはなく、自社の状況に合わせて選ぶことが大切です。
成長の踊り場に差し掛かったら、それは次のステージに進むための合図だと捉えてください。焦ってもっと頑張るのではなく、一旦立ち止まり、「誰に対してどんな価値をどう提供するか」という戦略と、それを実行できる組織づくりの両方を見直すことが、踊り場を抜け出す近道です。踊り場にいる間は苦しいものですが、踊り場を超えた先には、何倍もの成長が待っています。ぜひ今日からできることに取り組んでみてください。応援しています。