
今回は、書籍『「壁マネジメント」部下の行動をもれなく結果に結びつける!』を中小企業に活かす方法をお伝えします。
「部下がなかなか成果を出せない」「どこまで、どのように介入すべきか分からない」。このような悩みを抱える経営者やマネジャーは少なくありません。もっと本人に任せるべきか、それとも細かく指示を出すべきか…そのバランスに悩む方も多いのではないでしょうか。
今回ご紹介する「壁マネジメント」は、そんな悩みに対して一つの考え方を示してくれる一冊です。
著者の山北陽平さんは、さまざまな業種・業態の課題解決に通じるコンサルタント。本書には、山北さんが開発した「壁マネジメント」のノウハウが体系的にまとめられています。指南書としてのみならず、PDCAを回すマネジメントの全体像を掴む助けにもなる一冊です。
今回は本書を通じて、部下を成果へと導くマネジメントのヒントを探っていきましょう。
本書でまず注目したいのが、「なぜ目的を達成できないのか」という問いへの答えです。
目的を達成できない、つまり成果が出ない原因には、「目的の理解不足」「やる気や能力の不足」など、さまざまな要因が思い浮かぶことと思います。しかし本書では、成果が出ない原因を「行動が足りないか、方法が間違っているかのどちらか」とシンプルに結論づけています。
この考え方のポイントは、部下の性格ではなく「行動」と「方法」に焦点を当てることです。
性格を変えることは難しくても、行動や方法は改善できます。だからこそ、望ましくない方法や行動に流れないよう「壁」になる――つまり、成果が出る方向へと部下を支えてリードする。それこそがマネジャーの仕事だと、本書は述べています。
とはいえ、「壁になる」のはそう簡単ではありません。そこで本書は、壁マネジメントを実践するための具体的なルールとして、①行動ルール②介入ルール③フィードバックルールの3つを挙げています。
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
行動ルールは、「成果が出て、部下がやりきれる方法」を「具体的で間違いようのない共通言語で伝える」というものです。もう少し噛み砕いていえば、「成果に結びつき、かつ部下の実力に合った方法を、『このように行動してほしい』と明確に示す」ということですね。こうすることで、部下は迷わず動けるようになります。
介入ルールは、部下の行動に介入し、行動結果を把握するためのルールです。本書では、「リマインド型」「アフター型」「累積型」と、3つの介入の型が紹介されています。
リマインド型は、定期的な報告の機会を設定するものです。「毎朝」「毎週末」など、報告のタイミングをあらかじめ決めておくことで、部下自身も行動を振り返る習慣がつきやすくなります。
アフター型は、マネジャーから「やれてるかな?」と進捗を確認しにいくものです。部下の行動状況をリアルタイムで把握できるのが利点ですが、管理や催促の雰囲気を帯びやすいというネックもあります。
累積型は、部下の行動結果を総合的に見たうえで、必要に応じて「そもそもの計画を見直そう」「考え方を立て直そう」と方向修正するものです。日々の報告だけでは見えにくい傾向や課題を、一歩引いた視点で捉え直せるのが特徴です。
中小企業では、距離が近い分「気になったら声をかける」アフター型の介入が増えがちです。しかし、それが積み重なると、部下は「いつも見られている」と感じて委縮することも。だからこそ、介入の型とルールを決めておくことが重要なのです。
中小企業であれば、まずは直接報告や定例会議といった「リマインド型介入」を活用しつつ、進捗が怪しくなってきたら「累積型介入」で軌道修正を図るのが、最も無理なくスムーズではないでしょうか。
フィードバックルールは、行動と改善を紐づけてPDCAを回すためのルールです。
単に報告を受けるだけでは、次の成果にはつながりません。うまくいった点・いかなかった点を一緒に整理し、「何がうまくいったのか」「次はどんな行動をするのか」とフィードバックすることで、成果につながるPDCAが機能し始めます。
「部下本人に任せる」「細かく管理する」のどちらかではなく、「成果につながる行動を示し、必要なタイミングで介入し、フィードバックして改善につなげる」。このサイクルを回すことこそが、本書のいう壁マネジメントです。特に中小企業では、経営者と社員の距離が近いからこそ、この考え方を取り入れやすいのではないでしょうか。
「部下とどこまで関わればいいのだろう」と悩んだときは、ぜひ本書を手に取ってみてください。きっと、自社に合ったマネジメントのあり方を考えるきっかけになるはずです。