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2022.01.25

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中小企業のブランド戦略(第1回) 〜「局地戦」に勝つためのブランディング

安東 邦彦

中小企業も「スポーツチームのスポンサー」に

プロスポーツチームのようにユニフォームに企業やブランドのロゴを入れると、最大半額で購入できる――。

そんな独自のサービスを展開するユニフォームのECサイト「Outfitter(アウトフィッター)」が人気となっているそうです。

2020年6月のサービス開始から21年3月までで、約500チームに5000枚を販売。21年は1200チームに1万2000枚の販売を見込んでおり、リピート率は2割を超えているといいます。

購入者はまず、有名ブランドのユニフォームからデザインや色を選択。続いてスポンサーロゴを、胸元、袖、パンツに配置します。

最大半額という大きな割引が、金銭的に困っているアマチュアスポーツチームに受けている格好です。

広告主企業がユーザーに選ばれた数に応じて広告費を支払うことで、この割引を実現しました。

コロナ禍でプロスポーツだけでなく、アマチュアスポーツも大きく制約を課される中で、「社会貢献としてスポーツチームをサポートしたい」と考える企業が増えているとのこと。

現在では大企業だけでなく中小企業からの問い合わせも増えており、地域貢献の意味でも注目されつつあるそうです。

BtoC領域での新たなコミュニケーション手段としてはもちろん、企業としての存在意義を示す意味でも、「スポンサー」という形が再び注目されるようになるかもしれません。

今回は、ブランド浸透の方法が多様化していく中で、中小企業はどんな準備を進めていくべきなのかを考えます。

中小企業は局地戦でのブランド浸透を図るしかない

そもそも中小企業の場合は、商品やサービスで差別化するのは根本的に難しいもの。

例えば、「とてもおいしい焼肉屋さん」として評判になっている店があるとしましょう。

ふんだんに食材費をかけ、調理に手間暇をかける……。そうした差別化戦略で一時は成功したとしても、中小企業が無制限にこの方式を取り続けるのは不可能に等しいといえます。

そうなってくると、中小企業はサービスやブランドで差別化していくしかありません。

私は、ブランディングとは基本的に「コーポレートメッセージを届けること」だと考えています。これをどう発信していくかが、今後の重要な経営課題なのです。

特に中小企業の場合は、ランチェスター戦略にあるように局地戦で勝負していくことが求められます。「このエリア」「この業種」などの局地戦です。

これなら比較的、短期間でブランドを浸透させられます。そうやって1番を確立すれば、「いかに1番は商売が楽なのか」と気づくでしょう。

このノウハウをもつことで、違う場所でも小さな1番を獲得していくことができ、成功体験を積むことで、さらに投資していけるようになります。

ブランディングの意味とは

大企業がユニフォームのスポンサーに予算を付けるのは、ブランドの価値をよく理解しているからでしょう。

結果的に営業・販売活動はもちろん、採用活動でのイメージアップにもつながることをよくわかっているのです。

アマチュアのチームが自社商品やサービスのロゴを付けてくれていたら、試合を観戦している人はそれだけで好感をもってくれるかもしれません。スポンサーとなることで、ユニフォームに付いたロゴを広めていくことの投資回収をきちんとイメージできているのです。

しかし、中小企業にとってもこうした活動は意味をもっているのでしょうか。

BtoCのビジネスであれば地域内での購買促進に、BtoBのビジネスであれば地域貢献実績や採用活動への好影響が考えられるかもしれません。

実は形が違うだけで、中小企業の多くは、古くからこうした活動に取り組んできているとも言えます。地元のお祭やイベントなどに協賛するのもその一つです。

中小企業のブランディングに向けた活動は、どのような効果をもたらすのか。次回は具体例を交えて解説したいと思います。

(安東邦彦)

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