書籍「新たなプロの育て方」 | 中小ベンチャー企業の経営コンサルティング・スクール|ブレインマークス
閉じるボタン
半円赤
半円赤
2026/04/16

書籍「新たなプロの育て方」

短期間で人が育つモデリングとは

人手不足が深刻化する昨今、「人が育たない」「今時の若者が理解できない」と感じている社長は多いのではないでしょうか。正直、その気持ちは私にもよく分かります。しかし同時に、これからの中小企業が若い人を育てて定着させるには、従来とは違うアプローチが必要なのも事実です。

そこで参考になるのが、今回ご紹介する書籍『新たなプロの育て方』です。著者は、有限会社原田左官工業所の社長、原田宗亮さん。若手や女性が働きやすい職場づくりに尽力し、東京都の中小企業技能人材育成大賞知事賞を受賞された実績をお持ちです。また、短期間で活躍できる人材を育てる方法についての講演も行っておられます。

今回は本書を通じて、古い常識をアップデートするヒントを探っていきましょう。

真似して育てる「モデリング」

本書で特に印象に残ったのが、「モデリング」という育成手法です。やり方は、「一流職人の仕事をお手本として録画し、それを徹底的に真似する」というシンプルなもの。原田左官さんの新人は、入社後1ヶ月の間、自分と一流職人の動きの違いを確認しながら繰り返し壁塗りの練習に取り組むのだそうです。

この育成手法の強みは、大きく2つあります。1つ目は、入社してすぐ壁塗りという「中心業務」に関われること。2つ目は、最初から正しい型を身につけられることです。

左官など職人の世界では、従来「5年10年と下積みを経てから、初めて中心業務に携わる」育成スタイルが中心でした。しかしこの方法では、若手が活躍できるようになる前に離職するケースが起きがちです。最初から中心業務に触れて仕事の面白さを知ることは、若手本人だけではなく会社にとってもメリットがあります。

そのうえ、「守破離」でいう「守」にあたる部分を最初に固められるわけですから、成果を出すまでのスピードも速くなります。著者の原田さんも、「若手は教えられたことに対して素直に努力し、想像以上に早く仕事を覚えてくれることがわかった」と語っています。

左官業に限らず、モデリングはさまざまな業界で応用できます。たとえば営業なら、社長やエースが行っているヒアリングや提案の流れを録画することで「型」が可視化され、技術に再現性が生まれるかもしれません。

時代に応じて、育成方法も変える

多くのメリットが見込めるモデリングですが、著者の原田さんは当初、周囲から「新人にいきなりコテを持たせるなんて」と猛反発を受けたそうです。

下積みの苦労を経験してきた世代の職人からすれば、反対するのも無理はないでしょう。とはいえ、時代が変化している以上、育成の設計も変えなければ人を定着させることはできません。

たとえば、同じ職人の世界である寿司業界でも、「新人が握る代わりに安い」「一定期間修行を受けると、海外でデビューできる」など、育成の設計が多様化しています。価格や展開スピードの速さを軸にして、一流職人とは異なる角度から価値を成立させる動きです。

顧客目線で見れば、一流職人が握るお寿司にも、安く食べられるお寿司にも、それぞれに魅力があります。そして経営目線で見れば、一定水準の仕事を短期間で担える人材が増えるほど、ビジネスの可能性は広がるのです。

採用・育成の二軸で考える

ここで意識したいのが、育成だけでなく採用の仕組みもセットで考える視点です。

モデリングに限らず、あらゆる育成手法は「真面目に、熱意をもって技術を身につけようとする人」がいてこそ活きてきます。人を育てて定着させる仕組みには、採用と教育の二軸が不可欠なのです。

また、採用時にはもう一点留意したいポイントがあります。もし自分の中に「この仕事は女性(男性)にはできない」といった思い込みが少しでもあるなら、その先入観を意識して外すべきだということです。

業種によっては性差が適性に影響することもあるかもしれませんが、真面目さや主体性、仕事への熱意といった資質に性別は関係ありません。会社の発展に寄与してくれる人材を採って育てていくためには、性差や属性にとらわれずに資質を見極める視点が必要なのです。

本日のまとめ

「新たなプロの育て方」は2017年の本ですが、どんな業界にも応用できる非常に先進的な考え方が詰まっています。ぜひ、自社の育成に置き換えながら読み進めてみてください。きっと、貴社の可能性を一段と広げるきっかけになるはずです。

オススメの記事

人気記事