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2020.01.30

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まずは自社なりの人事評価の目的を明確にしよう!

安東 邦彦

 

評価する側とされる側、どちらも困っている

今回は、多くの企業で問題となりがちな「人事評価にまつわる不満・不安」を取り上げます。

人事評価に不満・不安を抱えているのは、評価される側であると考えがちです。
しかしながら、評価する側にも不満・不安は存在するものです。

評価する側のマネジャーが「会社の人事評価システムが十分に実情を反映していない」との不満を持つことは往々にしてあります。

だから部下に対する評価にも不安があり、自信をもって評価を言い渡せない。

こうした人事評価の課題は、評価する側と評価される側、
別々に対応して解決できるものではないでしょう。

そもそも、評価する側が評価制度に不安を持っている状況で、
その制度に則って人の一生を左右するような人事評価を下すことが
健全であるとは思えません。

そうしたおっかなびっくりの人事評価を、
評価される側が納得して受け入れるとも到底思えませんよね。

そこで今回は、こうした人事評価における双方の不満・不安をどうすれば解消できるのか、その方策を考えたいと思います。

人事評価の現実とは?

最初に、評価する側のマネジャー層が自社の評価システムのどんなところに
不満や不安を抱いているのかを確認します。

下図は人事評価システムや運用支援を専門とする株式会社あしたのチームが行なった
「中小企業の人事評価に関する調査」からの抜粋です。

人事評価をする際にどんな点に悩むかを聞いています。

上記調査によると、評価基準や、評価基準の基となる目標自体も曖昧なため、
評価・的確なフィードバックができないという不満が挙げられています。

さらには、人事評価の尺度が定められていないという不満が32.8%もあります。

これでは、「相対評価をしてしまう」「評価相手により好き嫌いが出てしまう」のも
仕方ありません。

基準が曖昧なせいで、評価者自身も明確で適切な評価をしづらいのです。

まずは人事評価の基準を明確に定めることが不満や不安を解消するための第一歩であり、最大に効果を発揮する方策であることがわかります。

揺るぎないものを見つける

そうは言っても、「どうやって基準を定めたらいいのだ?」という疑問もあるでしょう。
評価基準を簡単に定められるなら世の企業は苦労していません。

ここで、インテルCEOを務めたアンドリュー・グローブ氏の経験則による
「問題解決の諸段階」と題された図を参照します。

グローブ氏は「業績の良くない人は自分の問題を無視する傾向が強い」といいます。

こうした場面でマネジャーは、
問題が確かに存在することを示す事実と具体例をもつことが大事なのだそうです。

事実と具体例の提示に対して、「部下が積極的に否定する」のは
一歩前進だと考えるべきなのでしょう。

この段階での部下の抵抗に打ち勝つには、評価者にさらなる証拠が必要です。
しかし部下の抵抗はまだ止みません。

今度は人のせいにするのです。

その「行動」を評価すべき

ただ、人を非難するばかりでは部下の抵抗は行き詰まるとグローブ氏は指摘しています。
次の「責任を取る」という段階に進まざるを得ないのだと。

これは大きなステップです。

なぜなら、部下は「問題を自分のものとして認識して行動」しなければならないからです。

その際に、部下が渋々であったとしても、「部下の業務の改善」という目的や
「業績改善のための提言の達成度」という基準に照らせば、
問題社員の人事評価はプラスとなるわけです。

「渋々」いう態度でマイナス評価にしてしまうと、
上の図1で示した「人事評価の尺度が定められていない」に堕してしまいます。

同じく図1の「結果のみで評価を下すケース」という悩みは、
端的に言えば「数字」に依拠する評価でしょう。

この悩みについては「時間要素」を考慮に入れる必要があります。

つまり、部下の行動が将来どんなアウトプットをもたらすかまでを
上司は見通さなくてはならないということです。

例え今期は数字に寄与していないとしても、
先々に大きな貢献となって返ってくるかもしれません。
もちろんその逆もあり得るでしょう。

いずれにせよ、まずは自社なりに人事評価の目的を明確にしてみてはどうでしょうか。

そうすることによって評価基準が明確になり、
その先の「一貫性のある評価制度」も見えてくるはずです。

(安東邦彦)

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