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思い付きばかりの無責任社員をどうする？

今回のテーマは「思い付きばかりの無責任な社員をどうする？」です。

先日、ある経営者から「思い付きでものを言う無責任な社員に困っています」というご相談をいただきました。「会社を盛り上げようとさまざまなアイデアを出してくれるのは良いのですが、どれも練られていないものばかりで…。どうすれば、深い思考ができるようになるのでしょうか」という内容です。

業種を問わず、このようなお悩みは多いものです。どんどんアイデアを出そうという姿勢自体は心強くとも、肝心の内容が伴っていないと対処に困ってしまいますよね。

私自身も、こうした社員への対応に頭を悩ませた経験があります。そこで今回は、的外れなアイデアが頻発する原因や、社員により深い思考を身に着けてもらうためのトレーニング方法についてお伝えしていきます。

■無責任な発言の原因は？

浅いアイデアばかり出す社員に接していると、つい「無責任な社員」「ダメな社員」と考えてしまいがちです。しかし、思い付きのような発言が頻発する原因は、その社員が「ダメな人」だからではなく、単に「課題解決のための思考方法」が身に着いていないせいかも知れません。

課題解決に繋がるアイデアを出すためには、課題のうわべだけを見るのではなく、本質を見極める必要があります。そして、課題の本質を見極めるための思考方法は、訓練を積まないと身に着けられないことがほとんどなのです。

最初から的確なアイデアを出せる人は、あまり多くありません。反対に言えば、繰り返しトレーニングを行えば、どんな社員の思考も一定レベルまで引き上げられる可能性が高いということですね。

■内省の機会を増やす、PDCAの習慣づけ

ブレインマークスが取り入れているトレーニングのひとつに、「PDCA（計画、実行、評価、改善の循環プロセス）の習慣づけ」があります。

例えば、弊社の日報には「1日のスケジュールを書く欄」と「1日を振り返る欄」が隣り合って設けられています。1日の計画（Plan）を立て、それを実行（Do）し、できたこと・できなかったことを書き出して（Check）、できなかった理由や改善方法を考える（Action）という、PDCAのサイクルを毎日体感してもらう狙いです。

弊社では、個人単位・1日単位ではもちろんのこと、部門単位、2週間単位、1ヶ月単位…といった具合に、さまざまなスケールでPDCAを回す仕掛けを随所に取り入れています。すると、「できなかった原因はなにか」「どうすれば改善できるか」を深く考える習慣が自然と身につき、的外れなアイデアの抑制に繋がるのです。

■課題解決の思考法を養う「1％改善シート」

もう一点、課題解決の思考を身に着けるためのトレーニングとして、私が特に手ごたえを感じている「1％改善シート」をご紹介します。

1％改善シートとは、小さな改善を日々積み重ねることで将来の大きな成長に繋げることを目指した「1％改善」の取り組みに用いているワークシートのことです。社員により深い思考力を身に着けてもらうため、私はこのシートに下記のような質問を入れてみました。

• あなたが今、課題に感じていることはなんですか
• その課題の、根本的な原因はなんだと思いますか
• 課題に対して、どんな解決策が最も有効だと思いますか
•  

つまり、「課題を洗い出し、根本的な原因を探り、それを踏まえて解決案を出す」という、課題解決のためのフレームワークを盛り込んだのです。これを社内全体で運用することにより、どの社員にも「アイデアを出す前に、まず課題の根本原因について考える」という習慣が身に付きました。

課題の根本的な原因＝課題の本質を見極めると、改善のためのアイデアも自ずと的確なものになっていきます。ブレインマークスでも、1％改善シートの導入前に比べ、とても建設的な改善案が多く出るようになりました。

■本日の結論

忙しい毎日の中、的外れなアイデアばかり出す社員に接していると、つい苛立ってしまいますよね。そんなとき、個人の性格ではなく「思考習慣の有無」に焦点を当てて対処法を考えると、経営者のストレスもぐっと少なくなるのではないでしょうか。

臆さず積極的にアイデアを出す姿勢自体は、とても評価できるものです。トレーニングによって思考力を身に着け、的確なアイデアを出せるようになれば、その社員はあなたの会社にとってなくてはならない存在に化けるかも知れませんよ。

思考力獲得のためのトレーニングとしては、「1％改善シート」の運用をおすすめします。ぜひ実際にお試しいただき、その威力を実感してみてください。