中小企業の未来を考える経営コンサル
ティング株式会社ブレインマークス

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2019.04.11

最近話題の「ティール組織」(第1回)あなたの会社の組織形態は?「人の可能性を最大限に引き出す組織の形」

 

会社には、「上司と部下の上下関係」があるのは当然のことと思われてきました。

しかし、この一般的なマネジメント方法とは真逆の組織論が、今注目を浴びています。

 

その組織モデルを記した本が、

ティール組織』(フレデリック・ラルー著、英治出版)です。

 

本書は毎年多数発行されているマネジメント本の中でも圧倒的な存在感を誇り、

一般書籍を含めた売上ランキングでも上位を占めています。

これからの組織のあり方を示す本」として、

人事や組織開発の分野にとどまらず、多くのビジネスパーソンが手に取りました。

 

ただ、本の中でも書かれているように、

実際に「ティール組織を実現している会社」はほとんどないのが現実です。

 

そもそも「ティール組織」を知らない方はもちろんのこと、

仮にそれを知っていたとしても、

「そんなことを言っても、まず目の前の売上を追いかけることに必死だよ……」と

距離を置いている人も多いのではないでしょうか。

 

もちろん、今すぐの実現は難しいかもしれません。

しかし、私は案外、

近しいところまで組織形態を進化させている中小企業も多い」と感じています。

完璧に取り入れずとも、この真新しい組織論の中に経営のヒントはあるはずです。

 

そこで今回は、中小企業経営のヒントを得るべく、

そもそもティール組織とはどんなものなのかをご紹介したいと思います。

 

 

組織の発達段階―5つの組織モデル

 

ティール組織は突然現れるものではなく、発達段階を踏んで発生します。

この組織の発達段階には、5つのステージがあるといいます。

それぞれ5つの組織モデルをご紹介しますので、

あなたの会社はこのステージのどこにいるのか、考えながら読んでみてください。

 

(1)「衝動型」(レッド)

力を持った人間が強力に支配する組織です。

オオカミの群れやマフィアのようなイメージで、最も原始的な組織だといわれています。

メンバーは力によって脅され、恐怖心からリーダーに付いていきます。

この組織モデルでは、短期的な利益しか追いかけられません。

 

中小企業を見ていると、こうした組織は実際に存在しています。

トップがとてつもない営業力を持っていて、超独断で物事を判断しているような企業です。

社長個人の力量に、全社員が依存してしまっている状態です。

 

私はこれまでに、社員数30人でレッドの状態を維持している会社を見たことがあります。ルールも何も決まっていないのですが、社長のとても強いパワーマネジメントで統制され、

それに従わないと罵倒される環境でした。

そのため、離職率が非常に高く、人はしょっちゅう入れ替わっていました。

 

(2)「順応型」(アンバー)

明確なヒエラルキーがあり、指揮・命令系統がはっきりしている組織です。

軍隊のようなイメージで、「衝動型」に比べて個人への依存度を減らし、

より大人数の統率が可能になっています。

 

力で統率して短期的な思考でマネジメントを行なう「衝動型」に比べ、

この「順応型」は長期的な目標を掲げられる組織です。

 

ただこの組織モデルでは、変化や競争よりも、

ヒエラルキーの維持が重要視されます。

まるで「貴族」や「平民」などと決められていた身分制度のように、

社員は能力があってもヒエラルキーを昇ることは滅多にできないのです。

 

中小企業の中には、この「順応型」の組織はあまり存在していません。

なぜなら、「順応型」の組織をつくるには一定の規模が必要だからです。

 

大企業の社員なら、「この規模の会社を辞めたら自分が損をする」と、

打算的に考えることもあるでしょう。

しかし、多くの中小企業の場合はそうはならず、ヒエラルキーを昇れないとなると

社員はすぐに会社を辞めてしまうのです。

 

(3)「達成型」(オレンジ)

すべてがマニュアル化され、役割と仕組みが明確に整備されている組織です。

機械のように働く組織といったイメージです。

ヒエラルキーはあるものの、能力や成果を評価されて出世する機会があります。

 

この「達成型」の組織では、効率や結果を重視するため、

ヒエラルキーの存続を重視する「順応型」に比べて

変化や競争が起こりやすくなっています。

 

日本の企業は、ほとんどがこの形態です。

効率や結果を重視し、成果に応じて出世する機会があるところを見れば、

この「達成型」の性質を持つ中小企業も数多く存在しています。

 

しかし、この「達成型」の組織は、「機械」のように働くという例えの通り、

人間関係よりも効率や結果を重視する組織形態です。

つまり、社員が働くやりがいや幸せが置き去りになってしまいがちなのです。

 

(4)「多元型」(グリーン)

家族のようなイメージの組織で、

「機械」ではなくより人間らしさや多様性を尊重している組織です。

成果を出すことはもちろんのことですが、社内の思いやりや元気づけなど、

人間関係を一層大切にしています。

よって、この組織形態では多くの社員がやりがいをもって働いており、

意思決定はボトムアップで行なわれます。

これは実は、中小企業にも多く見られる形態だと思います。

 

ただし、日本の中小企業でよく見られるのは、

いわば「衝動型(レッド)組織の優しい社長版」です。

社員思いの社長が、社員思いのままに、同族経営に近い形で会社を率いているのです。

 

また、衝動型の優しい社長版組織では、社員に自主性がありません。

社長が親父的存在となり、

社員は「親父の言うことを聞いておけばいいんだ」と考えています。

そのため、ボトムアップで意思決定がなされることはほとんどありません。

 

(5)「進化型」(ティール)

では、最終形態であるティール組織とは、どんな組織なのでしょうか。

それは、社長が指示を出さずとも目的に向かって工夫を行ない、

自発的に成長を遂げていく組織です。

社長や株主の所有物ではなく、組織そのものが生命体のように働いています。

 

自ら動いて互いに助け合うため、目標管理や上下関係が必要ありません。

たとえるならば、組織全体が一つの生命体だとすると、働く社員は臓器に当たります。

一人ひとりが組織全体の構成員として、自ら重要な役割を果たしているのです。

 

これが、人の可能性を最大限に引き出すという、「ティール組織」の概要です。

 

さて、あなたの会社に当てはまるのは、どのステージでしょうか。

まずは自身の会社を振り返り、現在地を把握することが大切です。

 

ただ、私はティール組織を闇雲に目指そうとすることだけが

正解ではないように思います。

 

重要なのは、働く幸せや組織の自発性という観点から会社を見たときに、

このティール組織の理論を使って何が見えてくるのか? ということです。

 

次回は、中小企業がどのようにして組織を進化させていくべきなのかを

上記の着眼点から考えたいと思います。

 

(安東邦彦)