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2021.01.14

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中小企業が考えるべき「これからのオフィス」(第2回) 〜オフィスの設計はコミュニケーションから考える

安東 邦彦

「熟達までの3年間」がさらに長引いてしまうかも

第1回に引き続き、新型コロナウイルスによってその価値が揺らぎつつある「オフィス」の意味を考えます。

前回はマズローの欲求段階説になぞらえて、中小企業で働く人の欲求を「生存欲求」「社会的欲求」「承認(成長)欲求」の3つに整理しました。

できることを増やして自らの価値を高めたい。そんな社員の承認(成長)欲求をリモートワーク環境で満たしていくことは、非常に困難だと思います。

リモートワークが始まってから、研修や現場でのOJTに課題を抱える企業が急増しました。これは裏を返せば、承認(成長)欲求が満たされずに不満を覚える社員が増加しているということでもあります。

ちなみに、専門職としての専門技能を身につけ、熟達するには、5000時間の業務経験が必要だと言われています。

1日8時間働いたとしても625日。実質的な勤務日数を考慮すれば約3年という長い期間です。しかもこれは、オフィスなどのリアルな空間で上司や先輩とともに働くことを前提としています。

リモートワーク環境でも社員同士のコミュニケーションを活発化させる方法はたくさんあるでしょう。しかし、オフィスで顔を合わせて働いているときに比べれば、やり取りする情報量が減ってしまうことは否めません。

コミュニケーションが減ってしまうということは、社員が熟達するまでの期間がさらに長くなってしまう可能性もあるということなのです。

収益やビジネスそのものよりも大切にしていること

ブレインマークスの日常においても、社員の成長のためにはオフィスでのコミュニケーションが重要であることを日々感じています。

私たちは何年も前から、クライアントとのコミュニケーションにおいてオンライン会議ツールを積極的に活用してきました。

このビジネスモデルでいえば、執務スペースとしてのオフィスをなくしてしまったとしても、ブレインマークスはうまく機能していくのかもしれません。

しかし私自身は、「この会社の、このメンバーで成長していくこと」を重視しています。それは収益やビジネスそのものよりも上位にあるものなのです。

その意味で私は、オフィスの設計はコミュニケーションから考えるべきだと考えています。

いわゆる「ニューノーマルな働き方」へ移行してオフィスを廃止する動きをすべて否定するわけではありませんが、社員間のコミュニケーションへの視点が欠落していると、長期的には会社に大きなダメージをもたらすかもしれないと考えているのです。

「流浪するオフィス」でも問題ない

オフィスの機能を重視している私は、「できる限り職住近接」を求めてきました。

過去にオフィスを移転した際には、そのたびに自宅も引っ越しを重ねてきたほどです。

通勤時間はなるべく削減して、「自宅を出ればすぐにオフィス」の状態にするのが私の理想なのです(社員に余計な気を遣わせてしまうので、オフィスと自宅を合体させることまではさすがにしませんが)。

同じように希望する社員のために、ブレインマークスでは「近隣住宅手当」を出しています。直線距離でオフィスから5km以内の場所に住む社員には、家賃補助を出すという制度です。

東京の場合は、社員1人の通勤手当に月額2〜3万円かかる場合も往々にしてあります。それなら、その分を家賃補助にあてたほうがいいのではないかと考えました。今では半数の社員がこの手当を受けています。

とはいえ今後は、東京のオフィスだけにこだわる必要はないのかもしれません。

これはあくまでも私の夢想レベルのアイデアですが、ブレインマークスにとってのニューノーマルとは、「みんなで旅をしながら働く」ようなスタイルなのかもしれないと思っています。

例えば、ある時期だけ、みんなで沖縄のサテライトオフィスへ行くとか……。

コミュニケーションの場であり、集う場であり、社員にとって誇りが持てる場であること。

それらが満たされるなら、「流浪するオフィス」だとしてもまったく問題はないのです。

 

(安東邦彦)

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