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2020.07.09

コンサルティング

「危機を乗りきる社長」のマインドセット(第2回) 〜“意思決定疲れ”に陥らないための思考法

安東 邦彦

「白か黒か」ではなく「グレー」で判断せざるを得ない現状

「早く通常営業に戻したい」

それが、多くの経営者の偽らざる本音でしょう。

新型コロナウイルスの影響は世界経済全体におよび、足元ではさまざまな業種において、サービスの一部縮小や延期、中止を余儀なくされました。

とはいえ、「命」「健康」という最上位の優先事項を前にして、ビジネスを進める上での日々の判断に迷ってしまうことが多いのも事実だと思います。

特に今は、「白か黒か」といった明確な答えを出しづらいタイミングでもあります。

新型コロナウイルスの感染拡大は経営にどれくらいの影響が出るのか。先行きが見通せない中で国や自治体の支援をどこまであてにしていいものなのか。

そうした疑問に明快に答えられる人は誰もいません。

白か黒か、ではなく、グレーの濃淡を見極めながら私たち自身で答えを見つけなければならない。それが中小企業の経営者が置かれている現状です。

日々、世の中の状況は刻々と変わっていきます。そうした動きを見ながら判断を下していくわけですから、朝令暮改になるのも当然でしょう。

経営者はその繰り返しの中で、いつしか判断することに疲れていきます。いわば「意思決定疲れ」とも呼べる状態に陥ってしまう危険性があるのです。

どこまで来客数を減らせばいいのか?

先日、ある地方のクライアントと話していたときのことです。

そのクライアントは事業の性質上、濃厚接触の機会を減らすためには集客を制限せざるを得ないという状況に置かれていました。

「とはいえ、どこまで制限すればいいのでしょう?」

ため息をつきながら相談が寄せられました。

そのタイミングではまだ、そのクライアントがある地域は緊急事態宣言の対象になっていませんでした。そのため自粛の程度を決めるのにも、明確な基準が持てずに悩んでいたのです。

この先、どのような対策をしていくべきなのか。私が提案したのは、「この先に起こり得る状況を見越して対応策をあらかじめ決めておく」ことでした。

・まずは足元の来客数を3割減にする。そのために営業時間短縮やシフトに入るスタッフの人数を減らすことを検討する。

・国や自治体の要請に応じて、来客数を5割減とする。

・緊急事態宣言の発出対象地域となった場合は、来客数を7割減とする。

その日のミーティングではこの3段階の対応策を決め、その進め方についても具体的に決定しました。

緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大されたのは、その数日後のことでした。

社長自身が疲れすぎないように

言うまでもなく、「自粛」や「集客の制限」は経営者にとって心の折れる決断です。

日々めまぐるしく変わっていく状況の中で都度そんな判断を下すのは、経営者のメンタルにとって良いはずがありません。

だからこそ、起こり得る状況を予測して、あらかじめ段階ごとに意思決定しておくことが大切だと考えています。

辛い決断であることには変わりませんが、状況に追われて決めるのと、予測していた範囲内で決めるのとでは、経営者の心持ちは大きく変わってくるはず。

社長が意思決定疲れをして、判断能力が削られてしまうと、会社全体にマイナスの影響をもたらします。疲れていると、見通しや考え方がなおのこと暗くなってしまうかもしれません。

社長自身が、疲れすぎないようにセルフ・コントロールすることも大切なのです。

もちろん予測するのは悪いことばかりではありません。コロナ収束後のV字回復に向けて計画を立てることも重要です。

ブレインマークスでも、今回の事態から得た学びをもとに新たな方向性を見出しています。

(安東邦彦)

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