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2019.08.02

コンサルティング

経営者が向き合うべき「多様性」について考える

安東 邦彦

 

「組織の多様性」は必須の時代だけれど……

出口の見えない人手不足を背景に、
昨今は中小企業でも、多様な人材を活用していく必要性に迫られています。
外国人材の受け入れを積極的に進めようとする企業も増えていますね。

多様性のある組織は変化に強い。
そうした意味では、さまざまな人材を迎え入れて活用することは、
経営戦略を考える上でも必須と言えるでしょう。

しかし、多様性が増せば増すほどマネジメントが難しくなるのも事実です。
経営者は、どんなことに気をつけながら多様性を推進していくべきなのでしょうか。

このテーマについて考えたとき、
私はある社長のことを思い出さずにはいられませんでした。

その社長とは長い付き合いでした。
しかし、あるセミナーに出席して数年ぶりに再会したとき、
彼の印象はすっかり変わってしまっていたのです。

 

社員の悪口ばかり言う社長

数年前まで、その社長は好業績を叩き出す
「イケている会社」のハツラツとした経営者でした。
会うたびにいつもエネルギッシュな印象を受けていたものです。

そんな彼と、セミナーでは5年ぶりの再会となりました。
せっかくの機会なので「久しぶりにお話を聞いて勉強したい」と思い、
アポイントを取ったのです。

しかし……。
久しぶりにあった彼は、かつての印象とは随分違いました。

 

「どうしてこんなに“ひねくれて”しまったのだろう?」

それが率直な感想でした。

出てくる言葉は社員の悪口ばかり。
「最近の若い者の考えていることはわからない」とか、
「権利ばかり主張して義務を果たそうとしない」とか、
さらには「うつ病になるのは本人が悪いのだ」とか。

その再会の時間を終えて、私は強い憤りを感じていました。
自分でもうまく整理できないような感情でした。

うつ病になってしまった社員の文句を言う暇があったら、
まずは本人のケアを第一にすべきではないのか?
そして、そんな不幸な社員が出ない環境づくりを必死でやるべきではないのか?

何より、あなた自身がもしその社員の親だったら、同じように笑っていられるのか?

 

 

自分の中にある毒を全部吐き出す

うつ病は特別な病気ではありません。
ごく普通の日々を送っていた人が、何かのきっかけでふとスイッチが入り、
うつ状態になってしまうこともあります。

専門家ではない私になぜそんなことがわかるのかというと、
自分自身もかつて似たような経験をしたことがあるからです。

 

それは、会社を起こして間もない頃でした。

当時の取引先に、あるコンサルティング会社の常務を務めている人がいました。
超高学歴で超優秀な、「成功者」を絵に描いたような人。
私は起業時にもその人から支援を受けていました。

でも実際に会社を立ち上げて稼働し始めると、
その人の半端ではない「独占欲」に悩まされることとなったのです。

私が何か新しいことを始めようとすればいちいち横やりが入り、
他のコンサルタントと提携しようとしても、全否定されていました。
関係を断ち切る寸前の頃は、モラル・ハラスメントの嵐だったように思います。

そんな状況だったので、起業したばかりだというのに、
私は精神的に安定しない日々を送っていました。

 

専門のカウンセラーを頼り、1回につき3万円ほど支払って話を聞いてもらっていました。
思えばそのときの私は、
カウンセラーに向かって自分の中にある毒を全部吐き出していたのでしょう。
こんなとき、人は思いがけず攻撃的にもなってしまうのだと知りました。

 

久々に再会したときの例の社長も、同じような状態だったのかもしれません。
期せずして私がかつてのカウンセラー役となり、
彼の毒をすべて吐き出させてしまったのかもしれません。

彼はおそらく、社員に対する適切な接し方を知らなかったのでしょう。

かくいう私自身も、社員の多様性についてはいろいろな面で悩んできました。

多様性を認めることは、
ある意味では社員に好き勝手にやらせる権限を与えることでもあります。
「そんな度量がうちの会社にあるのだろうか」と思っていた時期もありました。

 

これは経営者にとって、本当に難しい問題です。
4回シリーズで書きますので、みなさんと一緒に考えていければと思います。

 

(安東邦彦)

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