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2025/06/12

組織化に取り組む前に準備すべきこと

先日、経営者の方から組織化に関するご相談をいただきました。

「私はいわゆる職人社長で、これまで業績向上のためにとにかく現場で働いてきました。しかし、最近は『このままではいけない』と思うようになり、組織化に取り組みたいと考えています。

ただ、『組織づくりに注力すると一旦業績が落ちる』とも聞いたことがあり、とても不安です。そうならないために、何か準備するべきことはありますか?」

会社を次のステージに進めるために組織化を決意されたこと、とても素晴らしいですね。私も自社の組織化に取り組む経営者の一人として、ぜひ応援させていただきたいと思います。

まずお伝えしたいのは、「組織づくりに注力しても、必ず業績が落ちるわけではない」ということです。どちらかといえば、「一時的に業績の伸び率が下がる」という表現が正しいでしょう。

そして、下がり幅を抑えながら組織化を実現するための準備として、意識していただきたい三つのポイントがあります。今回は、この三つのポイントについてご紹介します。

組織化の目的を明確にする

一つ目のポイントは、何のために組織化に取り組むかを明確にし、社内に共有することです。

どんなに優れた社長でも、一人で出せる成果には限界があります。組織化とは、この「社長一人の限界」を超え、事業を拡大するために行うものです。

そして、この目的は社内にも十分に共有する必要があります。なぜなら、何のために行うかを周知しないまま組織化の取り組みを進めると、社員からの誤解や反発を招くことがあるためです。

組織化を進めるためには、社長以外でもできる仕事を社員に任せることで時間を捻出し、その時間を教育にあてて高い成果を出せる社員を育てていく必要があります。このとき、何を目的とした取り組みなのかが周知されていないと、「社長が仕事を押し付けてくる」「社長の思いつきに振り回されている」といった誤解を招きかねません。

こうしたトラブルを防いで社員の協力を得るためには、組織化が会社をより良くするための取り組みであることを社員に理解してもらうことが大切です。まずは目的を明確にして、組織化をスムーズに進めるための土壌をつくりましょう。

長期的な計画を立てる

二つ目のポイントは、長期的な計画を立てることです。

組織化のために教育に注力することは、社長がこれまで業績のために割いていた力を減らすということでもあります。冒頭で述べたように、「組織づくりに注力すると一時的に業績の伸び率が下がる」のはこのためです。

もし、社長が現場の仕事をすべて手放して教育にだけ集中すれば、当然業績の伸び率は大幅に下がってしまうでしょう。下がり幅を抑えながら組織化を進めるためには、時間をかけて段階的に手放す仕事を増やしていく必要があります。

最も手放しやすい仕事はどれか。どの仕事を手放すと、どの程度の業績停滞が予想されるのか。あらかじめシミュレートして、リスクも見越した計画を立てましょう。具体的には、5~10年ほどの時間をかけ、年に1割程度ずつ手放す仕事を増やしていくことをおすすめします。

マインドセットを変える

3つ目は、仕事に対するマインドセットを変えること。もう少し詳しく言うなら、「組織化のために現場を離れる覚悟をもつこと」です。

組織化を進めて会社を成長させれば、自社の価値を今よりも多くの顧客に届け、社会にプラスの影響を与えることができます。そして、業績を拡大することは、社員の暮らしをより良くすることにもつながります。つまり、組織化にはある意味で、社員の人生がかかっているのです。

現場に出て活躍し、顧客からの感謝の言葉を直接受け取る体験には、他に代えがたい喜びや達成感があります。また、顧客から「社長がいい」と指名を受けるような場面もあるでしょう。しかし、だからといって社長が現場に力のほとんどを傾けたままでは、会社を次のステージに進めることはできません。

未来のお客様の幸せ、そして社員の幸せを実現するためには、たとえ後ろ髪をひかれても現場を離れ、組織化に力を注いでいく覚悟が必要なのです。

本日の結論

経営者にとって、組織化を進めるのは簡単ではありません。現場一筋で努力してこられた職人タイプの経営者であればなおさら、「やっぱり自分が現場に出たほうが……」と心を揺さぶられることも多いでしょう。そんなとき、今回ご紹介した3つのポイントが、前に進み続けるための支えになってくれるはずです。

まずは、組織化の目的を明確にする。そして、一時的な売り上げの停滞リスクも織り込みながら長期的な計画を立て、現場を離れる覚悟をもってPDCAを回していく。

一筋縄ではいかない取り組みかも知れませんが、ぜひ挑戦してみてください。きっとその先に、顧客も社員も、経営者自身も幸せになれる未来が待っているはずです。

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