今回のテーマは「疲弊するビジネスモデルから抜け出したい」です。先日クライアントの方から「現在行っているビジネスが単発売り切り型です。毎月が勝負という雰囲気で社内が殺伐としており、私自身も心に余裕を持てません。ビジネスモデルの変換も考えましたが、簡単ではないです。単発売り切り型で安心することは不可能なのでしょうか?」というご相談をいただきました。これはなかなか難しい問題ですよね。今まさに、この会社は勝負どころにいらっしゃるのではないでしょうか。このピンチを、ぜひステージアップのチャンスに変えていきたいですよね。
今回は、安定したビジネスモデルをつくるポイントについてお伝えしていきます。
単発売り切り型でも安定している企業には、共通点があります。それは「業績を上げていくスパンが長い」ということです。毎月「今月どうしよう?」と胃をキリキリさせるのは、会社経営としても人生の生き方としても、苦しいものです。
そうならないように、3ヶ月もしくは6ヶ月で「このくらいの売上を上げる」と計画を立て、その目標に向けて実行していくというスタイルをとるのが賢明です。
経営者にとって最も大きな問題は「リカバリーする時間がないこと」です。
でも、受注残を前倒しでつくっていくような計画を立てて経営していけば、数ヶ月売上が下がっても、残りの期間でリカバリーできます。
たとえば、新築の家を売っている会社で考えてみましょう。6ヶ月スパンで売上を考え、前倒しで売上を上げていきます。すると、3月決算の時点で翌年の売上が6ヶ月分ストックある状態をつくることが可能です。それにより、「6ヶ月先までは安心だから、次の6ヶ月のために今の6ヶ月の売上をつくろう」と余裕を持てて安心できるのです。
このスタイルであれば、単発売り切り型のビジネスでも安定していくでしょう。
私自身はというと、できるだけストック型で継続してお付き合いいただけるビジネスを探して、形にしています。ブレインマークスでいえば会員制度の運用もそうですし、個別コンサルティングも平均3年以上の長いお付き合いをするビジネスモデルです。
エステでよくあるのは、「6ヶ月で50万円」などの単発先払い型です。これは一時的には儲かりますが、経営としては難しいものです。同じ50万円でも、ストック型にしてみてはどうでしょうか。「5ヶ月間、毎月10万円ずつもらっていく」。そうすれば、月々の10万円に納得感が出て、お客様の離脱率も下がります。最初は大変ですが、ストック型は会社のレベルも上がりますし、ビジネスも良い形になっていきます。
このように、単発売り切り型とストック型を組み合わせて自社のビジネスモデルを考えてみると良いでしょう。
ビジネスモデルを変換する際は、試行錯誤がついて回ります。そのため、ここでもリカバリー期間の確保が重要となります。つまり、時間を買わなくてはならないので、お金(投資)が必要なのです。
現在の財務状況を照らし合わせながら、どの時点からビジネスモデルを変えるのが良いのか見極めましょう。心のゆとりがある時に改革に打って出るのです。たとえば「単価を上げる」というのも、「売れなかったらどうするのか?」というリスクがあります。資金がないと、ゆとりは生まれません。融資で借りられるものは借りて、万が一の時にリスクを負えるようにするのも得策です。
ここまで読んで、気づいた方もいらっしゃるかもしれませんが、安定したビジネスモデルをつくるために大切なのは、「継続可能な事業であること」です。3年・5年・10年続いていく事業にするにはどうしたら良いのか考え抜きましょう。
「単発売り切り型で受注残をつくる」「単発売り切り型とストック型の組み合わせ」「完全にストック型にする」。ご自身で最適なビジネスモデルを選んでいくことで、少しずつ事業が安定していきますよ。
今回の相談者の方は今、とても苦しい状況にいらっしゃると思います。しかし、今の苦悩は必ず未来に繋がっています。まずは、自分の会社のビジネスモデルを見直し、覚悟を決めて改革に取り組んでみてはいかがでしょうか。必ず、その先に新しいステージが待っていますよ。がんばってくださいね。応援しています。