
今回は、書籍『WHO NOT HOW「どうやるか」ではなく「誰とやるか」』を中小企業経営に活かす方法をお伝えします。
著者は、戦略コーチングや起業家コーチングの第一人者であるダン・サリヴァン氏と、組織心理学者のベンジャミン・ハーディ氏。本書では一貫して、『ものごとを成功させるには、「どうやるか」よりも「誰とやるか」が最大の鍵になる』ということを伝えています。
私は本書を、中小企業経営者や個人起業家にとって“必読の一冊”だと思っています。今回は、そんな本書の主論である「誰とやるか」思考が経営にもたらす恩恵について、私の実体験も交えながらお伝えしていきます。
何かに取り組む際、私たちはつい「どうやればうまくいくか」を考えがちです。たとえば「どうやれば新規契約を増やせるか」「どうやれば良い人材を採用できるか」といった具合に。
もちろん、経営において「どうやるか」を考えることは非常に重要です。しかし、この思考は「自分がやる」前提になっていることが多い。すると結果として、あらゆる課題を自分で抱え込むことになってしまいます。これではリソースがいくらあっても足りません。これが、「どうやるか」思考の落とし穴です。
そして、この問題を解決する鍵こそが「誰とやるか」の思考です。本書では、「誰とやるか」を常に意識する起業家こそが、スピード感をもって事業を拡大していると説いています。
実際、私のクライアントにも「誰とやるか」の考え方によって成功を掴んでいる経営者がいます。支援開始後わずか3年で、売上8000万円から12〜13億円へと急成長した企業の代表です。
その方は、常に「誰とやるか」を意識していました。たとえば「組織をまとめるのが苦手だから、それが得意な人を新たに雇う」「マーケティングは得意だがWeb構築はできないので、自社のセンスに合う人に依頼する」など…。
総じて、“得意な人を見つけて、任せる”ことに長けているのです。あるいは弊社とのご縁も、仕組み化が得意な人を探した結果だったのかもしれません。
「誰が一番得意だろう」「誰ならこの問題を解決できるだろう」「誰に任せれば自分の時間が空くだろう」。こうした問いを経営者が常に持つことで、組織は変わっていきます。
納得して依頼できる人、自分より得意な人を見つけて任せる。もし社内にいなければ、外部から連れてくる。あるいは、外部の考え方を社内に取り入れ、新たに育てる…こうして「任せる」を繰り返すほど、経営者は全体の采配に集中できるようになり、組織の成長が加速するのです。
もちろん、急成長には「組織に歪みを生じやすい」というリスクもあります。実際に、その方の会社でもいくつかの問題は生じていました。しかし、いずれのトラブルも深刻な事態には至っていません。「無理して頑張る」成長ではなく、「得意な人に任せる」成長ですから、問題が起きてもダメージを最小限に抑えられるのです。
私自身も、スケジュール調整などの細かな作業が苦手なので、それを楽しんでできる社員に任せています。苦手な私がやるよりも得意な人がやる方が効率的ですし、お互いの心的リソース消耗もより小さく抑えられる…まさに、良いことずくめといえますね。
経営者が常に「誰とやるか」を考え、“得意な人がやる”状態を全社に浸透させると、業務は単なる分業から「得意×得意」の掛け合わせに進化します。質もスピードも上がるうえ、社員もより生き生きと働ける。その結果、組織の成果が最大化し、成長が加速していくのです。
経営の成功に必要なのは、「どうやるか」ではなく「誰とやるか」という視点です。馴染むまでには時間がかかるかもしれませんが、まずは自分自身にこの思考を浸透させてみましょう。新たな雇用や外部への委託も含め、「誰とやるか」の思考で会社づくりを進めていくと、組織の成長は3倍にも5倍にも加速します。
今回お伝えした内容は、あくまでエッセンスにすぎません。本書には、「誰とやるか」という思考を深く理解するための解説や、それを実践に落とし込むための具体的なヒントがたくさん詰まっています。ぜひ一度、実際に手に取って読んでみてください。きっと、みなさんの会社の価値をさらに高めるための気づきを得られるはずです。