経営者本来の役割や仕事が全く出来ていませんでした。
当時は、典型的な業績追求型の会社で、社員にとってはとても怖い社長だったと思います。
仕事分担や役割も明確になっていない状況にも関わらず、「売上をあげろ!」と発破をかけるのが日常でした。会議は徹底した売上げの追求のみ。仕組み化を行なっていないので、品質はもちろんバラバラです。その頃の私は、「社長の役割は率先して売上をあげて、売上が落ちた部分の穴埋めをすること」だと考えていました。それがそのまま反映されていたんだと思います。気が付いたときには、数字目標の達成だけを目的に動く一体感の無い組織が出来上がっていました。ただ、年齢を重ねるうちに「このまま自分がプレイングマネージャーでいると倒れたり病気になったりしたとき、会社はどうなる?」と考えるようになったんです。全く将来が見えないこの状況に不安が湧き上がってきました。そんな状況から脱する為に、独自で勉強をし、沢山の書籍を読みました。しかし、「わかる」と「できる」は違います。経営者としての役割を頭では理解していても、行動に移せず不安だけが増えていきました。
安東さんのことは以前から知っていました。新日本保険新聞での連載を読んだり、DVDも購入していましたから。そんな安東さんがある日、北海道で講演をやると聞いたんです。直接お会いしたことはなかったので、とてもワクワクしました。当日は、もちろん最前列で参加しました。やはり、DVDとは迫力が違いますね。すぐに「この人から経営を学びたい!」と思いました。それが、コンサルティングを受けるきっかけです。今振り返るとあの時セミナーに参加して本当によかったと思います。もしも、セミナーに参加せず、コンサルティングを受けていなかったらと思うと、ゾッとします(笑)。
私にとっては、すべてが難しかったです。「全く分からない…」と何度思ったことかわかりません。しかし、それでも辞めなかったのは「変わる」という決意を持っていたからです。社員にもそのことは伝えていましたから、後には引けない状況でした。その後、わからないながらにも続けるうちに、自分の経営の問題と向き合う瞬間がきました。「今までの自分がやってきたことは、全部間違っていたんだ…」と理解した時、格好や見栄を全て捨てて丸裸になって向き合おうと覚悟を決めました。「わかったよ!俺のやってきたこと全部間違っていたんでしょ!だったら、また頑張るからゼロから教えてよ!」と。そこから、わからないことはわからないと正直に伝え、理解できるまで何度も質問を繰り返しました。実は、今でもこの正直さを大切にしていて、社員とも共有しているんです。「わからないことは、わからないと正直に伝える」。簡単なようだけど、案外難しいことです。
会社の夢を完成させたとき、全社員に向かってプレゼンを行ないました。会社の目指す方向の共有と、今までの謝罪のために。「俺のやっていたことは全て間違っていた。強烈に怖い社長になって、徹底的に売上を追及して…皆に“やれ!やれ!”と発破をかける。今思うとずいぶん乱暴な経営だったな…と思う。本当に、すまなかった」。経営者が自分の間違いを認めて、社員に謝罪をするのはとても勇気がいることです。しかし、新たな方向に向かって再スタートを切るために、絶対にしなければならないと思っていました。「これからは、皆の夢を応援し、個々の夢を実現できる会社を作っていきたい。一生懸命やるから付いてきて欲しい」そう伝えると、社員は受け入れてくれました。今振り返っても、あの機会を持てたことは本当に良かったと思っています。その後は、社員と一緒に会社の仕組み化に取り組んでいます。大きな変化もありました。弊社ではハッピーカードという社員同士が良い所を書き合う取り組みを導入していて、それは週1回書くのが義務付けられているんです。それを私が忘れてしまうと、社員から「今月社長が一番少ないです」と怒られたり…(笑)。それまでは、強烈に怖い社長でしたから、こんなフラットなコミュニケーションを取ったことはありませんでした。今では社員と堅い絆が生まれたと実感しています。社員との関係が変わったことは、私にとって、とても大きな変化です。また、ブランド取扱説明書が完成したことも嬉しかったです。右腕の社員と一緒にブレインマークスのサポートを受けながら作成しました。凄く長い時間がかかりましたが、自分達の会社について社員と深く考える良い機会になりました。完成後、全社員に共有し、今はそれを見ながら仕事をしてくれています。
経営者が経営の勉強をするのは当たり前だと思っています。プロ野球選手がバットの振り方を何度も練習して学んで、研究するのと同じです。経営者は経営の勉強をする。迷う理由はないと思います。経営者が経営を学べる場所。それがブレインマークスのコンサルティングです。