コンサルティングの前に受講したブレインマークス主催の集団研修プログラムで、自分の思考を引き出してもらうことの大切さを実感したからです。集団研修プログラムでは、半年間で自社ビジョンを描くことを最終目的としていました。日々の忙しさの中でボンヤリと考えていた未来を形にするのですから、それだけでもとても大変でした。ただ、時間をかけて繰り返し会社の未来を考えたことで、終了時には深い納得感を得ることができました。今まで自分の中で散らかっていた未来への思考が少しずつ形になっていく様も面白かったですし、思考がどんどん先に進んでいく感覚もとても楽しかったです。自社について何度も考えるうちに、それまでにはなかった将来像が浮かび上がってきました。それが、「生涯現役でいられる施設」です。
この経験から、会社を成長させていく為には第三者に自分の思考を引き出してもらう必要があると感じました。そこで、集団研修プログラム終了後も、引き続きコンサルティングをお願いしたんです。
「面談」と「ビジョン会議」ですね。
まずは、面談の導入経緯についてお話します。コンサルティングを受け始めた当初、社内トラブルが頻発していました。そこにどう対処をしたらいいのか、それがわからずひたすら火消しに走り回る毎日でした。さらに、離職も多く、長年働いてくれていたスタッフが去っていくこともありました。信頼関係を築き、一緒に頑張ってきたスタッフが去っていくのですから、とても辛かったですね。「何が悪かったのだろう」「何を変えたらいいのだろう」当時はそんなことばかり考えていました。気がつくと、社員との距離は離れ、腹を割って話ができる人材も少なくなっていました。そんな時、安東さんから「面談」を薦められました。こんな状況ですから、もちろん躊躇しました。「面談で、話を聞く事が不満を助長するきっかけにならないかな」と。安東さんも、「面談は凄く効果的ですよ。その代わり、劇薬です。社員さんの色んな気持ちが出てきます。覚悟をしてください。」なんて言うから、さらに不安になりますよね(笑)。ただ、実際にやってみると、その効果をすぐに実感することができました。仕事上の悩みや思いを伝える場所が社員には必要だったのだと思います。現在も継続していますが、スタッフはもちろん、会社全体の雰囲気が格段に良くなっているのを感じます。今では、各リーダー達にもパートさんに対して面談を行なうように促しています。リーダー達自身が、面談を受けてみたことでその効果を実感してくれていたこともあり、とても前向きに取り組んでくれていますよ。
次に「ビジョン会議」ですが、この会議をきっかけに社員の意識が大きく変わったと感じています。ビジョン会議とは、ブレインマークスさん進行のもと、全社員参加で行なわれる会議のことです。この提案を受けたとき、既にブレインマークスさんと信頼を築けていたので、躊躇はありませんでした。弊社の場合、会議開催の目的は「会社の中心的な価値観を全員で決める」こと。「どんな価値観で利用者さんと接するか」「どんな価値観で仲間に接するか」「どんな価値観で仕事と向き合うか」。それぞれに「フルサポートらしい価値観はなんだろう」と皆真剣に話し合ってくれました。完成後も、「せっかく作ったのに、このままだったら忘れちゃうよね」と率先して運用の取り組みを考えてくれています。きっと、ビジョン会議という場を通して「会社づくり」に参加したことで、意識が変わったのだと思います。受身ではなく、「伝える側」として動いてくれているのがわかり、とても嬉しく思っています。
社員の変化はもちろんですが、私自身がとても変わりました。今までは何か悩みがあると、整理もできないまま必死に模索し、解決を導き出していました。ただ、ブレインマークスさんに出会ったことで、課題を客観的に整理することができるようになりました。現在は、その視点が習慣になったおかげで、以前よりシンプルに解決策を見出せるようになったと感じています。また、面談やビジョン会議を通じて社員はもちろん、私自身も意識が変わりました。それまでは、「会社のことについて社員に相談をしたら、社員が困るのではないか」と思っていましたが、そうではないと気づいたんです。ビジョン会議で会社のことを真剣に考えてくれる彼女達を見て、「あ、頼ってもいいんだ。巻き込んでもいいんだ」と思えるようになりました。今は、1人で問題を抱え込むことも少なくなりましたよ。「これは、幹部に相談しよう」「これはブレインマークスさんに相談しよう」と自然に浮かんできますから。以前は、1人で走り回っていたことを考えると、大きな変化ですよね。私自身の気持ちにもゆとりが生まれています。
スタッフの幸せを作る1つに、「収入」があると思います。ただ、介護は法律の縛りがあったり、業界的に、どうしても収入が低くなりがちです。難しいかもしれませんが、フルサポートは介護という業態でも、一般企業と同等の水準で収入をスタッフが得られる会社にしたいと考えています。それは、スタッフの幸せを実現するうえで、決して無視出来ないことだと思うんです。
また、フルサポートは、「利用者さんが生涯現役でいれる施設」を目指して、様々な取り組みを行なっていますが、スタッフにも年齢に関係なく働き続けられる環境を提供したいと考えています。弊社には、年齢的に第一線で働くことが厳しくなってきたメンバーが数名います。介護の仕事は体力勝負なところもあるので、年齢の影響は避けられません。しかし、彼女達は長い間フルサポートで利用者さんのために働き続けてくれました。彼女達の経験や知識はとても貴重だし、利用者さんに対する思いも熱いです。だからこそ年齢を原因に、彼女達が退職を選ばなければならない環境は作りたくありません。今まで通り、第一線で働き続けることが難しいのは事実ですが、彼女達の能力に応じた働き場所をつくりたいと考えています。それがOB部門です。知識や経験を活かして若手の教育を行なってもらったり、深く利用者さんを理解しているからこそできる、「商品開発」を担ってもらえたら、と今は構想しています。年齢に関係なくスタッフの居場所を作り、役割を与えることが彼女達の生きがいにもつながっていくのではないでしょうか。日々、利用者さんの生涯を考えている彼女達です。だからこそ、会社は彼女達の生涯を真剣に考える。そんな会社を作ることが私の目標です。