中小企業の未来を考える経営コンサル
ティング株式会社ブレインマークス

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2019.01.29

ブレインマークスとは

権限委譲で注意すべき2つのポイント

今回は、「権限委譲」を中心的なテーマとして書いてみたいと思います。
「権限委譲」とは、「上司の持つ権限を部下に与え、本人の裁量で仕事を任せること」を指し、社員の成長と会社の生産性向上を目的に実行されます。

「権限委譲」は、経営者の多くが一度は耳にしたことがある言葉ではないでしょうか。
むしろ、聞き飽きたという方もいるかもしれません。それでも繰り返し言われるのは、それがビジネスにおいて大切であり、しかも実現するのが難しいからです。

 

■権限委譲を阻むもの

では、中小企業経営者が頭では分かっていても、なかなか徹底できない理由はどこにあるのでしょうか。
多くの場合、2つの原因があると考えられます。

1つは、会社で一番のスタープレイヤーが経営者であること
「優秀だからこそのジレンマ」です。

中小企業の経営者の場合、会社で一番稼ぐのは経営者、
一番忙しいのも経営者ということがままあります。
つまり、社員に仕事を任せようとしても、優秀であるばかりに
「自分でやったほうが早い」という現実があるのです。

ただ、経営者も
「社員に任せなければ会社にこれ以上の成長は望めない」ということは
頭では分かっているはずです。それでも起業家の体質がどこかで邪魔をしてしまうのです。

2つ目は、「権限委譲」をしたくても方法がわからないというものです。
権限委譲を行なおうとしたが上手く行かなくて、挫折してしまった方も少なくありません。

 

■正しい権限委譲のポイント

それでは、権限委譲はどのように行なえばいいのでしょうか?
ポイントは、「権限と責任のバランス」と、「正しく評価する」の2つです。

まずは「権限と責任のバランス」を説明します。
下記の権限委譲の状況をマトリックス図でまとめたものをご確認ください。

権限委譲の理想的な状態とは、
社員に権限もあって責任もある「A」です。
社員の能力に応じて権限を与え、それと同様の責任を課すことが大切です。
「何をどこまで自分で考え、行動していいのか」がわかれば、社員は自発的に動きやすくなります。

「B」や「D」のように、どちらかが欠けている状態ではバランスが悪く、逆効果になってしまうこともあります。特に「D」は、自分では何も決められずに責任だけを課されている状態です。これでは、どんなに優秀な社員であっても自発的には動きづらいでしょう。
また、過度なプレッシャーは社員の心身への負担を生み、疲弊させてしまいます。

 

■何をすれば、評価されるのかを明確にする
次に、「正しく評価する」について説明します。
これは、従業員の頑張りに対して、社員自身も「正当だと思える評価」、つまり「社員も納得できる評価」のことです。

それを実現している例として、星野リゾートの取り組みをご紹介します。

ご存じのように星野リゾートは、全国で多数の宿泊施設を運営している会社です。
そして、そのサービスの質は高く評価されています。

星野リゾートにおいても権限委譲をかなりのレベルで行なっています。
「ユニット・ディレクター(UD)制度」がそれに当たります。

この制度では、従来のピラミッド型組織とは違い、
社長直下に業務別の31のユニットを編成します。
そして、ユニットのリーダーであるUDが
経営の意思決定プロセスに参加するのです。

そして、【UDが同社の将来に利益をもたらす戦略を立てたと判断された】場合、
その変革によって生み出されるであろう
【今後5年間のキャッシュフローの5%をUDに支給する】というもの。

すなわち星野リゾートは、
何をすれば、どのように評価されるかを明確にし、制度化しているのです。

 

■権限委譲は不可能なことではない

なぜ権限委譲が難しいのか。
冒頭に書いた通り、それを不得意とする経営者は非常に多いでしょう。

しかし、会社を成長させようと考えた時、経営者ひとりでは必ず限界がきます。
つまり、権限委譲は成長に欠かせないステップなのです。

一定の時間はかかりますが、ポイントを押さえれば、決して不可能なことではないはずです。
大切なのは「権限と責任のバランス」と「正しい評価」です。

この機会に、自社の権限委譲方法について考えてみてはいかがでしょうか?

(安東邦彦)