社員のモチベーションを引き出すためには | 中小企業の経営コンサルティングならブレインマークス
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2019.12.26

コンサルティング

社員のモチベーションを引き出すためには

株式会社ブレインマークス

 

企業文化と企業理念の関係性

今回は、企業文化や企業理念、モチベーションをキーワードにしながら、
社員のやりがいを引き出す具体的な方法を考えます。

企業文化とは、それぞれの企業が有している「価値観や行動様式」のことです。

この定義を聞けば、企業文化が社内の環境や雰囲気づくりにとって、
決定的に重要であることがわかるでしょう。

身近な例としては、

・残業や休日出勤を避けるのが当たり前
・部署の垣根を超えて協力するのが当たり前

という価値観が職場にどのような影響をおよぼすか、考えるまでもないはずです。

こうした価値観や考え方、行動様式の一つひとつが企業文化の表れであり、
企業文化を形成・強化しています。

その企業文化の根本になっているのは企業理念です。
企業理念とは「経営者が大切に思っていること」なので、
良くも悪くも、経営者自身や社員の行動に反映されていきます。

しかしながら、企業理念がそのまま企業文化を形成するわけではありません。

いかに崇高な理念を掲げていても、
それと矛盾する行動が日々の業務において見受けられる例はいくらでもあります。

だからこそ、理念を日常業務へと反映させる具体的な施策が不可欠なのです。

そこで今回は、理念に沿った行動を引き出す具体的な方策を考えていきます。

職場環境を決定づけるのが企業文化

それでは最初に、世の経営者たちが企業文化に対してどのような認識を抱いているかを確認しておきます。

下図はべイン・アンド・カンパニーが行なった「経営管理の手法と傾向に関する世界調査(Management Tools and Trends)」からの抜粋です。アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、アジア太平洋、ラテンアメリカ地域のさまざまな規模の会社約1200社に対して、企業文化についての認識を聞いています。

上記調査によると、実に91%がビジネスで成功するためには
「企業文化は戦略と同じくらい重要」との認識です。

「重要と思わない」と答えた3%にも興味をそそられますが、
それらの会社の雰囲気を想像すると、何やら冷たいものを感じざるを得ません。

いずれにせよ、企業文化を重要視する企業が圧倒的多数であることは確認できました。

そこで重要になってくるのが、
「好ましい企業文化をいかに形成するか」という課題への対応策です。

 

外側からのモチベーション刺激

冒頭で、企業文化の根本には企業理念があると述べました。
一方で、企業理念の存在がそのままそっくり企業文化を形成するわけではないということも伝えました。

経営者の言動(良くも悪くも)を社員は真似るものです。
この意味で、理念の体現者たる経営者の言動が社員に影響を及ぼし、
企業文化を形成すると言えます。

しかし一方で、経営者がいかに夢を語って行動で示しても、
社員がそれについてこないということも珍しくありません。

だからこそ、企業理念を日常の業務に落とし込むために、
何らかの工夫が必要になってくるわけです。

その一つが「報酬」から生まれる社員のモチベーションを企業理念と一致させるやり方です。

フェアマウント・ミネラルズ(米国)という天然資源の採掘を手がける企業は、
企業理念として「環境・社会・経済の持続可能性についての責任を担う」と掲げています。

フェアマウント社はこの理念の達成度に関する評価プログラムを作成し、
その結果を全社員のボーナス50%の査定基準とすることを実行に移しました。

企業理念がどれほど達成できたかによって報酬の増減が決まってくるため、
社員に対して会社が何を大切にしているかのメッセージ性は絶大です。

フェアマウント社は、持続可能性のプログラムを運用するのに600万ドルを費やしましたが、その成果として1100万ドルのコスト削減に成功したそうです。

金銭的な報酬というモチベーションを刺激して、
社員の言動を企業理念に沿ったものにした好例です。

 

内側からのモチベーション刺激

社員の内側から沸き起こるモチベーションを刺激する試みもご紹介しましょう。

あるテレビ番組に「世界で見つけたMade in Japan」という人気シリーズがあります。

海外で愛用されている日本製の製品について、使用者と製作者の双方を取材し、使用者に対しては製作過程を観てもらい、製作者に対しては使用者がどれだけ製作物を愛しているか、助かっているかのインタビューを観てもらうという構成です。

製作者は自分が作ったものが海外で愛用されていることを知らず、
日頃は彼らとの接点もないため、感謝の言葉が伝えられるのは初めての経験でした。

愛用者のインタビューを観た製作者たちは、自分の仕事がどれほど人の役に立っているか、人から愛されているかを、実際の使用者からの言葉によって、はじめて知るのです。

もう一つの事例を紹介します。

ラスベガスにあるカジノホテル「シーザーズ・パレス」は、
部屋数が3960もある巨大なホテルです。

普段はオペレーションのために厳格に役割分担が決まっていて、
客室清掃係が宿泊客と接する機会はほとんどありません。

そこでシーザーズは、清掃係が回収した使用済みの石鹸が、ハイチやメキシコの人たちの健康を守るために再利用されているビデオを彼らに観せる試みをしました。

彼らは自分たちの仕事の価値を実感し、涙を流したそうです。

内と外からのモチベーションを組み合わせる

成功に向けた好ましい企業文化の醸成の根元には、企業理念の存在が欠かせません。

ただ、理念の存在だけで企業文化の形成は難しく、
理念を日常業務に落とし込む必要があります。

数々の事例からわかるのは、

・報酬という外側からのモチベーション
・自分の仕事に対する率直なフィードバック
・より大きなものにつながっている実感という内側からのモチベーション

これらを社員が認識し、
自分ごととして受け止められるような施策が必要だということでしょう。

企業理念を実践し、好ましい企業文化をつくるためには何が必要でしょうか。
あなたの会社の現状にも、ヒントが隠されているはずです。

(安東邦彦)

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